藤沢美子ちゃん主役のお話です。最後には松美になるようなならないような…









「松山、ナイスパス!」
『ナイスシュート藤沢!!」
ふらの小のエースストライカーは、かつて女の子だった。
藤沢美子が、FWとして最も得点を上げていたのだ。
「サッカーは女の子のスポーツじゃないとかって嘘だよな。ウチのエースストライカーは藤沢だぜ!」
「うん、私が女の子だからって侮ったチームの鼻をあかした瞬間は胸がスクわ!」
ニコッと、今日の練習試合でも決勝点を入れ、松山へのアシストもした美子は誇らしげに帰りのバスに乗り込んだ。
「クラスで一番足が速いのも女の子だしさぁ…別に関係ねぇよな…なのに、『女の子にスタメン取られるなんて情けない』とか言われるんだぜ俺」 
小田が溜め息をついた。
「女の子どうこうはともかくさ、小田も頑張れよ。キック力も足の速さも藤沢とは互角なんだ、ゴール前度胸がお前には足りないんだよ。ダイビングヘッドを思いきりやれる藤沢を見習え」
松山の指摘には何も言えず、小田は「精進します」とだけ言った。

当時は女子サッカーという分野はなかった。そもそもふらの小の 4年に女子は 11人もいなかったし…藤沢美子自身も、他のふらの小サッカー部も、文句なく強い藤沢美子が男子と混じってサッカーをすることに何の疑問も抱いていなかったのだ。






続きます
というか…タイトル、本文共に加筆修正しました