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2015年、C翼オンリーイベントに行ってまいりました。
朝日を浴びて、いつもの道を元気よく走る。
すれ違う近所の人に、明るく「おはようございます!」と挨拶しながら、澄んだ空気を思いっきり吸い込む。
活発な少女、赤嶺真紀の、何年も前からの日課である。
高校に入って二年目から、念願のソフトボール部の設立が認められ、エースピッチャーとなってからは、ますます張り切っていた。
健康な成長期の体は、グングンと伸びていく。
足腰のバネが、しなやかに力強く、少女の体を気持ちよいスピードで前に進ませる。
走りながら、今日も真紀は探していた。
今日も彼は走っているだろうか・・・。
2週間ほど前からか・・・
走りながらすれ違う顔ぶれに、一人新しく加わった真紀よりも1〜2歳ほど上くらいに見える、褐色の肌をした、長身の青年。
最近越してきたのだろうか?
早朝ランニングを始めたてでは絶対にない筈だ。筋肉の動きも、呼吸も、走りなれていることがひと目で判る。
「おはようございます!」
新しく加わったその青年にも、すれ違うジョギング仲間や散歩の人達と同じように声をかけようとして・・・
すれ違いざま、声と足が止まってしまった。
青年の、張り詰めたまなざしと、緊迫した呼吸に、思わずハっと息を飲み込まされたのだった。
そして、そのまま走ってゆく彼の後姿を、息を潜めて目で追った・・・。
何かを必死で追っているような目・・・彼は何を追って、走っているのだろう・・・。
その日、真紀はその青年の張り詰めた空気に飲み込まれて、残りの行程を心ここにあらずに機械的に消化した。
次の日も、次の日も、青年と同じところですれ違った。
さすがに初日のように圧倒されはしなかったが、それでもやはり彼のことは振り返ってしまった。
スラリと伸びた手足や、しなやかに逞しく鍛えられた筋肉の動きに見とれたり、けっこう精悍でカッコいいかな〜などと思ったり、運動をやっている者として、そしてやはり年頃の女の子としてのチェックの目が働く余裕も出つつも・・・
遠ざかる背中が纏い続ける、張り詰めた緊迫感が気になり続けた。
彼が追い求めているものが気になり続けた。
今度こそは「おはようございます!」と声をかけようと思い続けて・・・やはりできずにいた。
あの彼は、今日も走っているだろうか?
いや・・・今日も彼とすれ違うことができるだろうか?
今日も、あの背中を見せる?
それとも、今日は違う顔を見せてくれる?
また、あの張り詰めた背中に見入りたいような気もするし、もっと違う顔が見たいような気がする。
ねえ、あんたはどんなふうに笑うの?
どんな声をしているの?
彼とすれ違う場所が近づいてくる。
来るかな?逢えるかな?
どこまでも、人がいない道が開けている。
今日、彼は来なかった。
あの背中を見ることはできなかった。
笑った顔を見ることも、声を聞くこともできなかった。
少しスピードを落として・・・あたりを見回して彼の姿を探し続けたが・・・
走るルートを変えてしまったのか。
何かを掴んで、次の道に行ってしまったのか。
それとも、短期滞在で、もう沖縄にはいなくなってしまったのか・・・。
ため息をひとつついて、真紀は、前を向きなおし、またいつものように走った。
いけないいけない、ちょっとすれ違うだけの人に、何をそんなに気を取られているんだか。
自分自身に苦笑をして、家に帰り着いた。
「ただいま〜!」
そして、朝食を食べて、日曜練習に向かった。
集合時間よりも大分早かったが、最近編み出したピッチングの自主練がしたかったのだ。
もう実用できる完成度になっているが、自分的にはもう少しキレが欲しい。
ライザーボール・・・近づいている、強豪沖南女子との練習試合でも武器として通用するだろうか?
グランドに向かって走る。
今日の練習も楽しみだ。
チームが、自分が、どんどん上手く強くなっていっているのが実感できるのが嬉しい。
今日はどこまでいけるだろうか?
次の練習試合ではストライクが取れるだろうか?
あの強豪に、もしかしたら勝てたりするだろうか?
グランドが視界に入ってくる・・・真紀は走るスピードを速めた。
もうすぐグランドに着く。
「あ・・・・・」
グランドの入り口に着いた時・・・真紀は目を疑った。
これから、真紀が自主練を、そしてチームの練習をするグランドの隅で、必死にサッカーボール」を蹴っている青年の姿。
あの褐色の長身・・・張り詰めた背中・・・
今朝、真紀が探して見つからなかったあの姿・・・
ここにいた。
こんな所で・・・
真紀は、呆然と、彼の姿を見つめ続けた・・・
力が抜けた肩から、ズルリとスポーツバッグが地面に落ちたことにハっとする。
いけないいけない、これから私は自主練をするのだ。
このグランドは、そのために午前中、チームが取ってあるのだ。
彼にはそう言って、ここを出て貰わないといけない。
深呼吸して、真紀は青年のところに近づいていった。
さあ、声をかけよう・・・
声を・・・
どうやって?
決まっている、ここは野球のグランドだ。サッカーの練習をするのは別のところだ。
「ちょっとあんた!!」
振り向いた。
今日は、彼が真紀を振り向いた。
出し抜けに鋭い声が飛んできて驚いた顔で振り向いた。
初めて見せる彼の表情だ。
好感も魅力も感じない人を、小次郎のお相手設定に書いたりなんぞしません。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 11月6日 |
地 域 | 京都府 |
系 統 | 普通系 |
職 業 | サービス |
血液型 | A型 |