…下ネタと一緒かな…
下ネタをところ構わず喋ったりはしないけど、「下ネタ好きだよ」はオープンにする男子みたいなモン。
興味がない人に、ネタそのものを語るのは控えていますが、貴腐人であることそのものは友人にも歴代彼氏にもオープンし続けています。
理由…
私自身、隠されてしまったが故のストレスを中高生時代、強く感じてしまったから…
そして…頑張って頑張って頑張って…やっと読むことができた「薄い本」…
「面白いじゃん!どうしてこんな面白いモノを私から隠そうとしたの!?」
と…なりました。
別に意地悪で隠したわけではないとは思うけど…
それまで「禁断の書」だったがための反動もあり…
「隠すのは逆効果?」
最初からオープンにされていれば、「へぇ…こんなジャンルもあるんだ。なかなか面白いね」で済んだかも知れない。
隠し事は、「隠し事がある」こと自体まで隠しきるしかありません。
「隠し事あるな」と気付かれた時点で、相手は知るまで諦めません。
案外…周りは、「なんか独特の趣味があるっぽい」程度に受け止めますし…
たまーに…語り仲間が増えます(笑)
「利広様…もうよろしいのですか?」
「あぁ…少ししか食べられなくて済まないね。美味しかったのだけど…もう入りそうもないんだ。いつも済まないね」
用意された夕食に、殆ど手を付けられなかったことを詫びながら、利広は儚げに侍女を労った。
「そんな…。ではお下げいたします。お薬を置いていきますので、お飲みくださいね」
侍女は、痛まし気な表情を浮かべ、夕食を下げて薬を置いて去って行った。
奏南国の一流旅館の次男…利広は胸の病に侵され、誰の目にも命は風前の灯だった…。
「お可哀想に利広様…」
「あんなに聡明でお優しいのに…」
利広が住む離れに出入りする使用人達は口を揃えて言う。
コンコン…
夕方から夜にかけて頻度と激しさを増す乾いた咳…
利広は思う…。
僕はもう助からないよ、高い薬を買うのはもうやめなよ父さん母さん…。
しかし、そんなことを言ってしまったら…両親や兄や妹がどれほど傷付くか解るから言えない。
忠義を尽くしてくれる使用人達の表情が曇るのも居たたまれない。
櫨家は、家族…そして使用人との絆がとても深い家だった。
利広は、奏南国の、一流旅館を営む店の次男として産まれた。
元々、少し体が弱めなのが懸念されつつも、好奇心や発想の目の付け所が鋭く、将来を嘱望されていた。
優等生な長男の補佐役として、共に旅館をもり立てるもよし、外に婿入りをさせても、実家の利益となる人脈や情報をもたらすだろうと…。
しかし…
数年前…「また風邪が長引いてしまったか?」と思ったが…さすがに3ヵ月も咳と熱が続き…
「ただの風邪じゃないかもしれないから」と、薬師に診せたところ…
治らずに死に至る可能性が非常に高い「胸の病」であることが判明してしまった、
そして
「伝染る病」であることも。
旅館業をしている以上、利広を離れに移動させるしかなかった。
利広は…「治りたい」気持ちもありつつ…
伝染る重病を抱えた息子を、旅館業を営む家族が持つ葛藤を思うとやりきれなかった。