「なぜ逃げるんだ若島津!!」
猛虎の叫び…否、日向の悲鳴が響き渡った。
朝からずっと若島津が日向を避けているのだ。
若島津とは喧嘩もするが、このように訳も言わずに避けられ続けたことは、今まで一度もなかった。
心当たりもない…
昨夜は、普通に「おやすみ」「また明日!」と挨拶を交わした筈だ。
朝練の時までは変わりなかったのだが
授業が始まるあたりからか…
日向が若島津に話しかけようとすると、それ以前に若島津が日向の姿を見つけると、サッと身を翻すのだ。
一回や二回ならば、偶然か気のせいとも取れたが…
いつものように、昼休みに食堂へ一緒に行こうと肩に手をかけたらサッと日向の手を払いのけ、
「いけません、今日はいけません!!」
そう言って、走り去って行ったのだ。
「なぜ逃げるんだ若島津!!」
わけもわからずに避けられるという状態に耐えられる日向ではない…
何とか問い詰めたいが、日向の姿を見た瞬間に身を翻されてはどうにもならない。
足の速さは互角だが、空手有段者のヨケるスキルにはかなわない。
どうしたらいいのだ…
「あれ〜、日向さん、どうしたんですか?呆然と立ち尽くしちゃって」
「反町!!お前若島津のことで何か知っていることはないか?」
「…やっぱりアレかなぁ…気にしちゃったかなぁ…」
反町が、気まずそうに呟いた
「何か心当たりはあるのか?」
「心当たりつうか…まさか健ちゃんが本気で気にしちゃうなんて思わなくて…ただの雑誌にあったネタなんですよ…」
反町は何やら言い訳を続ける
「おい、心当たりがあるならさっさと言え。お前を怒る暇は今はない」
日向が、詰め寄る
「いや…今朝ね…」
朝練後、反町が部室にあった雑誌を何気に捲っていた時、若島津に「何か面白いネタでもあるのか?」と訊かれたのだ
「星占いのコーナーだよ。面白いし、けっこう当たってるトコもあるんだよね〜。俺はしし座。健ちゃんはやぎ座だね、どれどれ健ちゃんは…」
軽く、やぎ座の特徴を説明してから、今週の運勢やラッキーアイテムを読み上げた。
「20日…って今日じゃん。ウワ〜、しし座との喧嘩やトラブルに注意だって。しし座って俺じゃん…あ、日向さんもだ!」
そこで「なにぃ〜!」となったのではないか…とのことだ
「やぎ座は生真面目って本当に当たってたんだぁ…」
「やぎ座はっていうか若島津が本気にしやすいヤツだってことくらいお前もわかってるだろうが。
…たくしょうがねぇなぁ…」
日向は、軽く反町に拳骨をくれてやると、若島津がこんな時に行きそうなエリアへと向かった。
若島津は、やはり1人になりたい時によく行く、校庭の松の木の下にいた。
「おい若島津!」
!?
若島津が反応する前に、日向は若島津をガッチリと抱きしめた。
そうなると、若島津はもう抵抗できなかった。物理的には可能なのだが…精神的に無理だ、この日向の腕を振り払うなど…若島津にはできない。
「俺が…俺が…あと10日早く生まれてくれば良かったんだ、そうすればあんたと相性バッチリの射手座だったのに」
ちなみに、日向があと何日か遅く生まれれば、やぎ座と相性バッチリのおとめ座だったのだが…
「バカやろー、お前が何座だろうが関係ねぇよ。何年もお前と一緒にいるが、お前と合わないだなんて感じたことは俺は一度もねぇ。お前は違うのか?」
「ひ…日向さんっっ!俺が…俺が間違ってたよ…俺にはもう日向さんしかいないのに…」
「若島津〜!!!」
もはや、お互いに何を言い合っているのかわからない。
ともあれ、放課後の練習では、いつも以上のいい動きをしそうである
「5時限目の授業、2人は出てくるかなぁ…」
もうじき予鈴が鳴るなぁ…と、教室に向かう道すがら、反町は賭ける相手を探していた。
出入りしているサイト様のネタから派生した妄想です。
ちなみに管理人は、まっつんと相性バッチリの蠍座です。粘りとしつこさはまっつんに負けない筈です(笑)
続きからコメント御礼します