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GK会議

「なぁ森崎〜、合宿とかでは若林とか若島津と同室になったりするんだろ?あいつと一体何話すんだ?」
石崎が、森崎に素朴な疑問を投げかけた。
合宿や遠征での部屋割りは、あいうえお順だったりポジションごとだったり…ともあれ同じ学校の者同士にはならないようにしてあった。コミュニケーションの偏りを避けるために。
GKである森崎は、若林や若島津…時には3人部屋になったりもしていた。
何となく…その組み合わせでの会話は想像がつきにくかった。特に、やはり若島津には謎めいた印象がつきまとうので尚更だ。
「あ…いや、そんな特別なことはしゃべらないよ。やっぱりサッカーのこととか…使っているグローブのメーカーの話だったり、若林さんからはドイツの話とか…東邦ではどんな学校行事があるのかとか、そんなトコ」
「へぇ〜、若島津もそんな普通の話をするんだな…」
石崎は一体、若島津を何者だと思っているのだろう…。
そっとしておいた方がいいだろう…前回の合宿最終日のGK部屋での出来事は心の中にしまっておこう。



その日…GK陣は、揃ってストレスを溜めていた。そして若林が持ち込んでいたウィスキーを3人で飲んだのだ
「まったく…勘弁して欲しいよ、南葛の奴らったら…普段は俺のことを大して重要視してないくせに、何かトラブルったらすぐに俺に泣きついて…岬は肝心なときに何でかその場にいないことが多いし…。あっちの話もこっちの話もいちいち聞いてらんないよ!俺だって俺のことで色々とあるんだっつぅの!!」
水割りに溶けかけた氷をホイッと口に放り込んで森崎が愚痴る…そして鬱憤を噛み締めるように氷をガリガリとかじった。
「たく…日向の野郎、俺のことをデブデブって…言っておくが俺の体脂肪率はチームドクターから示された適正内に保たれてるんだよ、ウエイトだって計画的に増やしたんだ、腹はちゃんと割れてるぞ!」
若林は、ペラリとTシャツの裾を捲ると、逞しく割れた腹直筋を拳でポンと叩いた
「大体GKは損ですよね…FWは何本シュートを外しても得点したゴールがあればカウントされるのは入れたゴールの数だけ。GKは何本セービングしても、失点したらカウントされるのは失点数だけなんて…」
恨みがましさ全開で若島津はロックをチビチビと口に含む
「「「そうだそうだ!FWがノーゴールになったシュートの数も記録されればいいんだ!!」」」
「間違いなく、俺達の失点数より遥かに多い筈ですよ」
「大体、新田は隼シュートを試合中に完成させたことを自慢してますがね、それまで何本失敗させたんですか?それが評価されるんなら、俺がやっと止められたシュートのことだって…『それまで何点も決められておいて最後に止めて守ったぞ〜!はない』って突っ込むんなら、FWだってさんざん外したり止められたりしておいて『決めたぞ〜!』だってなしです!」
とあるひとコマに対する突っ込みを、若島津は松山の「食堂の借り」よりも根に持っている。
「若年寄若年寄うるせえんだよ、ドイツにはカルツみたいなのが山ほどいるんだ(そうなのかな?)、俺は世界基準では全然若々しいぞ!大体みんな俺の苦労や努力を知ろうともしないで…ある程度エラそうにするのも敵に威圧感を与える戦略なんだらなっっ」
「俺が何を言われても怒らないと思ったら大間違いなんだよ、やっかいごとを押し付けてばかりいないでたまには自分でスーパー頑張れ!俺は俺のスーパー頑張りに集中したいんだ〜!!」
「俺が何を考えてるか判らない〜!?俺はちゃんと言いたいことは言ってるよ、俺の話を最後まで聞かないのはみんなの方じゃないか、特に反町!いつもこれから大事なことを言おうという所で話の腰を折るし…日向さんはいつも勝手の尻拭いを俺にさせるし…」

GKの愚痴は止まることを知らず、いつの間にか3人は酔いつぶれて床に転がって眠っていた。
そして、酒瓶やグラスを片付けながら…すっかりと深い友情で結ばれたのだった


「まぁ…GKにはGK同士色々あるんだよ」
森崎は、無難に結んだ
「そんなもんなのか〜」
石崎は納得したようなしないような顔で、部室を出て行った
!?
「あ〜石崎!また日誌を途中で放り出して…まったくキャプテンの自覚が本当にあるんだか…」
ぶつぶつ言いながら、森崎は残りの日誌の記入欄を埋めた。

そして、また森崎の愚痴のネタが増えたのだ

料理の腕前ランキング

今は、中学からも男女別れずに一緒に「技術 家庭科」の授業を受けているようですが…ワタシの時代はギリギリ(本当にギリギリ、確か1つか2つ下の学年から変わったのよ)分かれていました。工作が大の苦手なワタシはギリギリ助かったのですが…
あ、絵心もゼロです。従って、イラストや漫画を描くことはありません。
「くれる」という申し出は大歓迎です
…ていうか誰かください(←ココで強請るな!)

小次郎達も、中学からは家庭科がありません…

料理男子人口は今よりずっと少なかった筈なのです。時代が時代だし、母親の専業主婦率も高かった筈ですしね
専業主婦のお母さんがいるお家で、家庭科の授業もなく、部活が中心の10代を送っていたら、普通はまぁ料理に限らず家事は覚えないと…せいぜい母の日にお手伝いする程度…が殆どではないかと思います。

そんな中で…料理が上手そうランキングをしてみました

第5位 森崎有三
なんかね、お姉さんに手伝わされてそうなカンジなんだよね。
彼氏ができてお弁当に挑戦なお姉さん…「ちょっと味見して貰える?」とかがきっかけで「う〜ん、こうしてみたら?」「あらあんたセンスあるじゃない」「そ…そうかな…」なんてカンジに、気付いたらけっこう上手くなってたような…

第4位 反町一樹
お母さんのお菓子作りに興味津々。「あら、一樹も一緒にやる?」みたいな
手先も器用なイメージだし…森崎はお姉さんに手伝わされたのがきっかけだけど、彼は妹さん。
何やらキッチンで苦戦している様子の妹に、「こうすればいいんじゃないの?」「あぁそっか」
「俺って才能あるかも〜♪」な〜んてけっこうハマっちゃったりして

第3位 早田誠
近所の中華屋のオヤジさんの包丁捌きと豪快なフライ返しにぞっこん。
「カッコええなぁ〜」
「誠、先ずは基本よ。ちゃんと教えるから母さんがいない時に勝手にフライパンを振り回すのはやめてちょうだい!」
「せやな、サッカーと同じで先ずは基本やな、よろしく母ちゃん!」
鮮やかな包丁捌きと豪快なフライ返しを目指して…5年生になって家庭科の調理実習をする頃には…「すげぇな!」と…クラスの注目を浴びたのに気をよくして、派手なパフォーマンスを交えた料理をしそう。

第2位 日向小次郎
多分、もともと家の手伝いはマメだったんじゃないかな。下の兄弟とはけっこう年が離れてそうだし…お父さんが亡くなって、お母さんが働くようになった時には既にそれなり…
予算内での買い物から、エコ(ノミー)にも気を使った後片付けまでカンペキ!
安い、早い、美味いがモットー。小さな弟や妹の栄養バランスも考えて、好き嫌いが出ないように工夫もして…。「ピーマン?兄ちゃんが作ったのなら食べられるよ!」
…嫁に来てくれ…キミのためならおばちゃんは一生懸命働くぞ!

第1位 岬太郎
2位と僅差ですね。彼の場合は物心ついた頃から父子家庭。
キラースマイルの持ち主の岬クンは、けっこう近所やお友達のお家からご飯に招かれてそう…?「これ美味しい!」と思ったら「どうやって作るの?」なんて…
方々の家庭のお母さんの得意料理をしっかりと吸収。
「太郎、また腕を上げたな!」
勿論、お買い物からエコ(ノミー)な後片付けまで。
明和時代は、小次郎とスーパーの特売情報を交換してたりしてね。


逆に、やる気を出したトコロで苦手だろうなぁ…と思うのが、ワカシー、松山、源さん…ありゃりゃ、小次郎とCP設定率が高いメンツが揃っちゃった…

まぁワカシーは、そのうち不器用でも慌てずにやれば大丈夫な(切り方の揃い具合とか、素早い火加減調節とかのスキルが必要のない)レシピをいくつかマスターして、自分なりの工夫でけっこう美味しいものを作るようになるかなぁ…。できれば、あんまり油を使わない洗い物がラクでキッチンも汚れにくいモノね……それってワタシのことだよ(苦笑)。
とりあえず、そのようにして小次郎が疲れてそうな時とか体調が悪くなった時に作ってあげることはできるようになるんです

松山は…なんか、ゴミを沢山出しちゃいそうなイメージ…片付けながら調理をするとかができなそう…キッチンもかなり汚れそうです…。でもって、火やフライパンの扱いが上手くないと難しい料理ばっかりしそうだねぇ…もうちょっと簡単なのを作ればいいのに
小次郎「片付けは手伝うよ、これは一人では大変だろう…(それに、多分コイツに任せたらキッチンの汚れをかなり見逃す筈だ)」

源さん…「こんな大量に買い込んでも腐る前に食いきることはできねぇぞ?あ〜しかも冷凍するのが勿体ない高級肉をこんなに!」
そして…「何時間かかってるんだ…」
頑張ってくれたのは判るけど、高級食材を大量に無駄にしちゃいそう…スープの類は大量に作り過ぎて、「こんな大鍋冷蔵庫には入らねーしどうするんだよ?「食洗機だぁ〜!?んなモノ家にはねえよ!!」
でもね小次郎、場合によっては食洗機使った方が水の節約にはなるんだよ?電気代と差し引いたらどのくらいかまでは調べてないけどね

めっちゃ嬉しいメッセージ

くだらん妄想を書き散らしているヘボな私に…

私のC翼話で癒されているって…。

うわぁぁぁ!
 
思わず泣けてきて、コーフンして眠れなかったよぉ〜!!
そのメッセージをくださった方は、今本当に大変みたいで、私は役に立てる行動もできなければ、出せる知恵もありません。

でも、大好きなC翼…ワタシの更新で気分転換になれると…

うわぁぁぁ!
もう死んでもいい…

あ…いや、もうちょっと部屋を綺麗にしてから…(←一人暮らしでとことんだらしなくなるクチ)

もぅ張り切って1日10本でも20本でも更新しちゃうぞ〜(←仕事しろ)

もう寝るの無理だわ…やっと朝晩涼しくなったしウォーキングしようかな〜

春風と太陽9

あの日…
「小次郎、今日1日は休んだら?明日は練習試合なんだろ?」
学校に行く支度をする日向に、母親は心配そうに話しかけた
「具合悪くなったら無理しないよ。多分大丈夫だ」
そう言って日向は学校に出掛けた。

流石に、岬と違う学校では言われなかったが…

明和FCの練習に出たら、チームメイトが悉く駆け寄ってきた
「日向さん、ひどい熱が出たって…」
「大丈夫ですか?無理しないでください」
…どうしてあっという間にこんなに広がっているんだ?
吉良監督までもが、
「今日の練習は軽めにしておくんじゃな。病み上がりの体は大事にせにゃならん」
……
「おい岬、みんなにどう言ったんだよ…」
詰め寄ったら
「動物の映画観たら泣いちゃうこととか、昨夜僕が小次郎の手を握ってあげたこととかもみんなに言っていいの?」
「………」
「じゃあ今日はあんまり激しい運動しちゃダメだからね♪」
夕刊配達に向かった先でも
「おい大丈夫か?」
口々に言われて参った。

ことあるごとに…
「小次郎、もうちょっと食べた方がいいよ」
「無理しちゃダメ」
お前は俺の母ちゃんか!?
「ううん、お母さんが言っても聞かないんでしょ?あ…動物の映画で小次郎が泣くって言っていい?」
…日向は、そのことに関してだけは母親を恨み続けている。


岬は、「小次郎はね、みんなが小次郎のこと大好きで、小次郎のことを助けてあげたい人がこんなに沢山いるっていうことに気付いて、みんなの気持ちを受け取るべきなんだよ」
岬は強く思っていた
「僕も…小次郎みたいに、欲しいものに真っ直ぐ目を逸らさないことの大事さを教わったしね」

小次郎が、岬の言いたいことに気付くには、少し長くかかることになるが…
岬自身も、頭では判ったつもりで、欲しいものに対するストレートな情熱をぶつけられるようになるには、長くかかった。


岬が明和を去る日…日向は見送りには来なかった。
若島津が…「これ、本当は俺からだって言えと言われたんだけど実は日向さんからなんだ」と、おにぎりがいくつか入った包みを渡された。
「台所に立つなんて学校の家庭科の授業でしかない若島津さんが、こんなに大きさが揃ったおにぎりを結べる筈ないじゃんね〜!」
沢木がケラケラと笑った。
「来ちゃったら絶対に泣いちゃうからですよ!」
タケシの言葉に、みんな頷いていた。

みんな知っているんだな…本当はかなり涙もろい小次郎のことを…

「僕も泣いていたって小次郎に伝えて」
若島津に笑って、バスに乗り込んだ
乗ってから…涙が溢れてきた…

「岬さんも今頃泣いていますね」
タケシが帰り道、若島津に囁いた
「だな…対照的なようでよく似た2人だ」
若島津が笑った






end
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春風と太陽8

「ありがとう父ちゃん…」
すっぽりと包み込まれた手に安堵したように笑うと…

「!?」
眩…しい…?
「おはよう小次郎」
すっかりと朝になった部屋で目を開けると、岬の笑顔が目の前にあった。
そして…自分の手を握っているのは…自分よりも小さな白い華奢な手だった
「僕もいつの間にかうたた寝しちゃっていてね。気付いたらおばさんが帰ってきてたの。でね、もう遅いから泊まっていきなさいって」
「そうか…!?朝刊!!」
「あ、朝刊配りなら僕がやってきたよ。ちゃんと小次郎と同じ部数を配ったんだ。ちょっとだけ遅くなっちゃったけどね」
おじさんがくれたの!と飴玉をポケットから2つ出して一つは小次郎のね、みんな心配してたよ〜とニコニコする岬を、日向は黙って見ていた。
「なぁ…いつから手を…」
どこまでが夢で、どこからが現実の感触だったのか…自分の手をしげしげと見つめた
「うん…たまに魘されてたから。お父さんの夢見てたのかな…。君が『父ちゃん』って言った時に『小次郎』って声をかけると呼吸が楽そうになったんだよ」
「お前が小次郎って言っていたのか…」
「そうだ小次郎、そろそろ朝ご飯の支度を手伝ってくるけど、何か食べられる?」
「あ…あぁ…」
返事と共に、「グゥゥゥ〜」と、日向の腹部が自己主張をしてきた
「あはは!お腹の方がいい返事をしてきたね」
笑いながら手を額に伸ばす。
「熱も下がったみたいだね。どうする学校…今日は土曜日で半日だし休んでおく?」
「いや、半日だし行っておく。練習に出られるかどうかはその具合で決める」
「ご飯はお粥にしておく?」
「いや、腹も減ったし一緒に食卓で食う」
「了解。汗、かなりかいたみたいだからお風呂場で体を流しておいでよ。今日は僕が支度を手伝うからさ」

風呂場から戻ると、岬は玄関で靴を履いていた。
「お前は食って行かねえのか?」
「うん、僕も家に帰って学校に行く準備しなきゃ。父さんが朝ご飯の用意してくれてるしね」
「お前んちは父ちゃんだけか?」
「うん、大好きな父さんと2人だよ」
じゃあね小次郎、またグラウンドで!と、岬は帰って行った
いつの間にか…呼び名は小次郎になっていた



「だめだよ小次郎、味方を怖がらせてどうするんだよ」
「ウルセェ!これが俺のやり方なんだ。文句があるならお前が相手しろっっ」

「あ〜あ、またやってる…」
いつの間にやら、妙なよそよそしさが2人の間からなくなったのはいいが…
どうにも、サッカースタイルだけでなく、2人の意見は噛み合わないことが多い
「俺は岬みたいな器用なマネはできねーんだよ!」
とは日向の口癖だ
「でもね、小次郎の気に入らないものは気に入らないってストレートにぶつかっていける所、僕はけっこう好きなんだよね」
とは岬談である。

しかし…岬が、日向相手にズケズケとものが言えるようになるなど、最初は誰もが予想だにしなかったのだが…
「岬さんて、日向さんに対してはちょっとSなんじゃないですか?」
「タケシ…それは言うな…」
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