前回のひとりごとから…

来た 時間帯が良かったのか この“巫女の住み処”
には ワタシ達以外 誰もいなかった……




釣り場は すぐ見付かった…

左手の滝から豊富な水が流れをつくり神殿庭の池からも水が流れこんでいる川……
見上げるほど大きな鳥居
その足下にソコはあった…

雲の上にある場所なのに
寒さを感じない
ふしぎな場所だった…


さっそく竿を投げる

…!!

水面に針が飲み込まれる
音が響く……

あとは
滝が水面を叩く音
しか 聞こえない……


……静かだ

ゆっくりと時が流れ……


突然!!
竿が引っ張られる

しなる竿が獲物が かかった事を 手元に知らせる…
…なんだ!?
この 手応えは?

それは 初めて感じる
引きの感触

ウイリスカープとも
スティングマサーモンとも違う


釣り糸を切られないように竿をあやつり
相手の抵抗が弱くなった
ところで 一気に竿を
上げる………

……?

なんだ コレは?

初めて見る 魚?



「それは“ギョ”だね
“ギョルミ”が頭に被ってる アレ だよ…」



すかさず パートナーが
教えてくれる……



さっそく 珍しいモノが
釣れた…
しばらく ここで
釣りを続けてみよう………


………………



“ギョ”が釣れたあとは
“ウィリスカープ”
“スティングマサーモン”
が 釣れた……

宝箱(トレジャーボックス)も釣れる……

中身は……
“平たい石””割れたメダル”“銀玉石”……

確かに ここでしか
釣れない珍しいモノだが……
ガラクタばかりが増えてゆく……


ワタシは 微妙な顔 にも
飽きてきた……

パートナーは ワタシが
何を釣り上げても
喜んでくれる……

彼女の笑顔は 屈託がなく

ワタシには まぶしいくらいだ……



釣り針に“ふつうのえさ”を付け…
これしかないのだが……

再度 竿を投げる……

…!!

水面に いつもの音が
吸い込まれていく……


左手の滝の音を聞きながらじっと待つ……

…この静寂
……実に 心落ち着く……

パートナーは後ろで
お茶の準備を始めたようだ

…錬金術による合成
レシピと素材があれば
どこでも誰でも出来る
普通にありふれた光景…


だがワタシにはその才能がないらしく
合成はパートナーまかせなのだ………



「…お茶にしようか?」



パートナーが聞いてくる

…と そのとき
あたりがきた……



…竿をあやつり 頃合いを
みて 竿をあげる


“ワイルドキンギョ”だ

これも なかなか釣れない
珍しい魚だ……




ワタシ達は いったん釣りを止め お茶にする事にした……


雪山と草原で取れる
レモンを使った
“レモンパイ”と
アロエベラから合成で出来る茶葉を使った
“紅茶”……

二人だけの茶会………


…周りに誰もいない
滝の水音だけが聞こえ

甘いレモンパイに
熱い紅茶から 良い香りが
漂う……

パートナーと二人っきり
で過ごす 穏やかな時間…

至福の時とは こういう事を いうのかも知れない…

…ワタシは紅茶を一口含み香りを楽しむ……


………………


パートナーとの他愛のない
おしゃべり……

レモンパイをつまみ
紅茶を飲む


それだけなのに
心が満たされていく……


パートナーは彼女で
良かったとワタシは
心のなかで神に感謝した
もっとも 祈る神など
ワタシには無いが……



人心地ついたところで
ワタシは 釣りを再開する事にした………