ある冒険者のひとりごと…5 二月のチョコ話 其の弐

前回のひとりごとから…


…ワタシは しばらくの間
カカオ村に通うことにした

しかし

…チョコ風呂はないと思う



職業は戦士のまま
カカオ村で チョコミと呼ばれる魔物狩りをしたり
オニと戦ったり…
そんな毎日を過ごしていたある日……

ワタシは また やらかしてしまったのだ………




オニ級と呼ばれるオニ…

ワタシ達 2人では倒せないが 他の冒険者達と協同でなら 楽に倒せる………


しかし その時は
間が悪い というか
魔がさした というのか
悪い偶然に遭遇して
しまったのだ……


オニと戦うときは
平行世界へ移動する
コレは他の魔物との戦闘
と同じだが
戦闘前 戦闘待機中で動ける範囲が違う……

通常は戦闘待機中はその場から動けず
逃げることで通常世界へ
戻ることができる…

しかし オニとの場合は
違う………
逃げるという選択肢が
無い
戦わなければ 通常世界へ戻れない…

しかし 戦闘待機中はその空間内を自由に動ける…
このとき 他の冒険者達と話し協調して オニとの 戦闘に挑む…

他の冒険者達がオニとの戦闘に入った時 途中参加しても良い
…相手が強敵な時はこういう事が許される…

暗黙の決まりが有ることをこの頃 ワタシはようやく理解していた……



話が それてしまった…


…そう オニとの戦闘待機空間内 周りに誰も
いなかったのだ……


…………たったひとりを
除いて…

ある冒険者のひとりごと…5 二月のチョコ話 其の壱

前回のひとりごとから…

…ワタシは 次の目的地を カカオ村に決めた
ソコにはどんな発見があるのか?
…ワタシの興味は尽きる事をしらない……




…次の目的地である
カカオ村は
特別な場所で

パートナーの説明によると

普段 行くことは出来ない場所で

条件のそろった ある時期にだけ出現する……
だいたい二週間くらいで
消える村らしい…

もちろん世界地図にも記載されていない

おそらく 平行世界にあり条件がそろった時にだけ
行き来(いきき)できるのだろう…


(…そういえば
オーブダンジョンも
そうだったな……)

……ひとり もの思いに
ふけっていると…



「ついたよ!」



……!?


パートナーの声に

気がつくと………


見上げるほど大きな
装飾のほどこされた
円形アーチの前に

ワタシたちは
立っていた…………




…この アーチ
どこかで見たような…?




「どんどん行こう!」



パートナーが先頭に立ち
ワタシを 招く…

この村は 不思議な場所だ

村の中央に噴水があり
円形に建物が取り囲んでいる……

その建物は見覚えのあるモノだ…

そして村中に ぼんやりと霧が かかり
頭上に見える空さえ 薄暗いピンクに染まっていた…

………


そう 魔王城 外郭 円形広場に

不老不死の村 酒場前を置き……

不老不死の村の建物をその周りに置いた………

…………

ワタシには
そう感じられるだった……


入り口にある 円形状アーチも 魔王城外郭にあったモノに似ている…

しかし 細部は 微妙に違うのだ……


元の噴水は中央に二段の塔だが ココの噴水は五段くらいあり……

水 ではなく“チョコ”を吹き出している……



「むこうに チョコ風呂が
あるよ 入ってみようか?」


はしゃぐ パートナーの
指差した方向には

ハート型の池?
が見える

コレは元になった場所には無かったモノだ……



すでに たくさんの冒険者が訪れており

互いに談笑したり

魔物狩りをしたり

この村は大盛況である

噴水前には 祭りの主催者が立ち 祭りの進行をしている

不老不死の村 酒場前にいる店長に 似ているが
別人だろう…

平行世界に存在する
同一人物かもしれない…



しばらくは
この村に 通うことに
なりそうだ…………




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