“2月は 不思議なことが
多く起きる…”

と噂ばなしがある……



2月の日が他月より
少ないのは 悪魔が持っていったから……

……古くより伝わる
おとぎ話より…………






掲示板というモノが
この世界には あちこちにある……


錬金術で作られているのは
間違いない……
古い書きこみは上の方へ
移動してゆき…
やがて書きこみが消える
からだ…

仕組みは解らない
そんな事に疑問など
もたず 皆が利用している

……………



冒険に行き詰まったとき
手掛かりをくれる事もある
疑問を書きこめば
答えの書きこみが
ある! …時もある………

冒険者が書きこむモノ…
だから 落書きも多い……
神を冒涜するもの……
自己存在を誇示するもの
たわいない おしゃべり…
………………………


そんななか 気になる
書きこみを 見つけた…

場所はカカオ村入り口

ココに掲示板が立って
いることに
ワタシは 初めて気ずき
ぼんやり 眺めている
時のことだった……


“褐*の* 1*** ***1”

普段なら気にもとめない
のだが……


連日のチョコミ討伐に
疲れていたのかも
しれない……



何が 書かれていたのか
うまく 思い出せない…


なにかの 呪文 だった
気がする……

ワタシは 我知らず
ソレを
唱えてしまっていた………………



………何も おきない…
ただの いたずら書き…
だった……?

掲示板のまえに立たずんでいると

「… こっち こっち
みんな 待ってるよ……」


幼い声に
振りかえると

幼女が 笑いながら
立っていた……


浅黒い肌に白い髪
…白い羽を背負い
白い下着に素足という

頭に 輪っか でも浮いて
いたら
天使である……

もっとも天使を見たことはないが……


唖然としている
ワタシは
幼な子に手を引かれ

カカオ村の円形門を
くぐった………


「…フフッ こっちだよ…」


村の真ん中にある
五重くらいの噴水…
相変わらず
溶けたチョコが流れ出している………


すでにそこには 人が集まり
談笑していた……

ワタシが 招待客?の
最後らしい……



…ワタシは 何か
違和感を感じていた……

…人が少ない?

…!!

…そう ここには
肌の色が濃い
いわゆる 褐色肌と呼ばれる人々しかいないのだ!!


…あのとき
掲示板に書かれていた
言葉を呟いた……
そのあとだ
この世界にきたのは!




……幼女がい

…若い女性
妙齢の女性
…若い男性
小柄な老人男性!!
まで……

肌の色も日焼けから
黒い肌まで


こんなに いたのかと
驚きを感じていた……



「噴水に集まって〜
あたしより 上に登っちゃ
ダメ!!」

彼女の呼び掛けに
人々が集まってくる


……何かの儀式だろうか?
ワタシは この世界の
指導者とおぼしき
天使な格好をした幼女の
隣に立った………

何か あれば 彼女を盾に
逃げるつもりだ……

辺りを見渡し パートナーの姿を探した……

……!?

いない?

この世界に来たのは
…ワタシだけ?

かなり まずい状況に
あるらしい……


…どうしたら?
良いのか?………


「自由に していいよ
他に 何か したいこと
ある?」

「じゃあ チョコ風呂
行きたい!!」

…!!

考えこんでる ワタシの
両側で 声が した

幼女天使がふたり!?……

最初に会った 幼女と
瓜二つ……
……いや よく観ると
髪型が違う………

幼女同士が会話している


事に気付いた…



「じゃあ チョコ風呂に
いくよぉ!!」

「さんせい!!」

…彼女らの言葉に
20人ぐらいだろうか?
老若男女が ぞろぞろと
移動を始める……
そのなかにワタシも いた
………




チョコの甘い香りが
漂う ハート型の風呂?
というより 池と言った方が ふさわしい大きさだ

初めて見たとき ワタシは
池と思った……

しかし パートナーは
風呂と 言った……

そんなことを ぼんやり
思っていると……

奇声をあげ
次々と風呂?に飛び込んで行く人々……

服は着たままだ…

ワタシも おずおずと
入ってみた……



「ぬげ〜!!」

「おまえら ぬ〜げぇ!!」

まるで 双子のごとき
白い羽を背負った
チョコレート色をした肌
をした 幼女が 音頭を
とって はやし立てる

褐色肌の人々は
我先に 装備を脱ぎ捨て
大騒ぎになった……

……みな やりたい放題
無礼講である……

魔女の集会(サバト)とは
こういう モノ だろうか?
チョコの甘い香りと
人々の熱気に
あてられたのか
ワタシも楽しい気分に
ひたっていた……


「ねぇ キミも 仲間に
なりなよ…」

「きっと 楽しいよ…」

褐色の幼女たちが
甘く ささやきかける…

ぼんやりした頭で
ワタシは…

「…どうしようかな」

素の自分が答えた……

「こういうのは 勢いが
大事だよ!」

褐色肌の女性も話しかけてくる

……
………ワタシは

ふと視界のスミに
パートナーの顔が
見えた……

その顔は
怒っているようにも
悲しんで いるようにも
見えた……






……キミ
…………キミ
………………キミ!!

ふいに パートナーの声が
聞こえた

…!!

目前には 掲示板が見え
騒がしい 声! 音!! が
聞こえてきた………

「どうしたの?
ぼぅーと しちゃて…
まっ いつものこと
だけど…」

心配そうに ワタシを
見上げる
ワタシのパートナー…

「えっ? いま ワタシ…」

「どうしちゃたの?
きゅうに 女の子ぽっく
してぇ……」

含み笑いの パートナーに
「な 何でもない…」

あわてて ワタシは
取りつくろうが

パートナーは ニヤニヤ

しぱなしだ……

…そうだ あの 書き込み!
あわてて 掲示板を 見るが上へ流れたのか
見つけることが出来なかった……

あれは 白昼夢だったのか

………

背後で あの幼女たちの
笑い声が 聞こえた気がした……

振り返ったそこは
いつも 変わらない
多くの人が行き来する
カカオ村の入り口だった
……