……ここは シュリンガー公国 片隅にある小さな村…山肌にへばり着く様に存在し もともと少なかった村人の数も大いに減り
朽ちた空き家の目立つ そんな片田舎………

そこに住む ある少年
ある時 村長宅に呼ばれて宅(たく)に お邪魔しておりました……


「よく来たな まぁ座れや」

囲炉裏(いろり)を囲んで
村長が声をかけます


「へぇ おおきに…上がらして もらいますぅ 今日も 良い天気でんなぁ……」


少年は土間で履き物を脱ぎ囲炉裏の間に上がります


「いゃ 今日呼んだのは 他でも無い…」

キセルを燻(くゆ)らせて
村長が話始めます


「へぇ 今日は どういった御用でしゃろ?」


「お前も そろそろ いい年だ… 成人の儀式を受けに行きなさい…」


「成人の儀 ちゅうと アレですか?」


「そうだ 冒険者に成るための儀式……
お前は まだ幼いが儀式を受ける事が出来る 村を出て広い世界を観てきなさい…」


「その儀式 受けんとアカンとですか?」


「それが 昔から続く この国のしきたり……例外は無い…」


「そうですか〜…
ほな 行かんと あきませんなぁ〜」

「で? 何処へ行ったら ええのん?」


「儀式は…シュリンガー公国城内の街にある教会で行(おこな)われる……
明日の朝 出発しなさい
日が暮れる前には公国城内の街に入れるはずだ…」


「さいですか ほな 明日の朝 出ますわ…」


「それからな これを持って行きなさい…」


村長の手に古ぼけた小さな丸い物が乗っています…


「何です? その 小汚ない物は…」


村長はせきばらいをして話始めます…


「これはな 村に代々伝わる“魔除けの鈴”と言ってな…身に付けていると魔物が寄って来ない という有り難い品だ 肌身離さず 持っていなさい…」


「へぇ〜 こんな物がねぇ…」


鈴を受け取った 少年は興味深げに色んな角度から覗き込みます……


「それからな…
村の外で人と話す時は 共通語を使いなさい…」


「何で です?」


「田舎者と判るとな身ぐるみ剥(は)いで有りZell全て巻き上げる輩(やから)が おる…気を付けるのだぞ」

「はぁ…気を付けます」


「お前が この村 最後の子供だ…たまには顔を出してくれ……」


「心配しなくても 大丈夫でっせ……
かわいい嫁さん連れて凱旋したるやさかい……」



「……それは 頼もしい
だが無理に帰って来なくても良い 外の世界で暮らすのも自由……
冒険者は己(おのれ)で考え 行動するもの……
誰にも生き方を強制できんよ……」


「村長は いつも難しい話をしますなぁ…」


「今は 理解(わから)なくても 良い……いつか解る時もある………
今夜は早く寝なさい……」

「ほな また明日〜…」



村長の話が終わると 少年は自分の家に帰ります…


明日は公国に向けての長い旅が待っています……
どんな運命が待っているのでしょうか……


今夜はひとまず終了です…