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純文学のススメ

一応『柳←夢主←赤』で夢小説です。本当にほんのり程度ですが。赤也くん視点。

例によって名前変換が出来ないので、ヒロインの名前は『斎藤』で統一しています。











ソイツと初めて会ったのは、古文の宿題がどうしても終わらなくて、参考書を借りに図書室へ行った時だ。

見慣れた長身が見えたから、ついでに簡単で分かりやすい参考書でも教えてもらおうと思ったのに、柳先輩はなんか知らない女子と話してた。


「斎藤は本当に読書家だな」

「全然!柳さんの方がずっと読書家です!この前すすめてもらった本もすごく面白くて…」


柳先輩が女子と話してるところってあんまり見ないから、なんだか新鮮。ソイツは柳先輩にすすめられた本をメモしては、それをでかでかとミッキーマウスの描かれた手さげに詰め込んでいく。

サラサラと貸し出しカードに名前を書き入れると、「ありがとうございました」なんて、嬉しそうに帰って行った。肩にかけられてぼこぼこになったミッキーマウスが、恨めしそうに俺をにらんでる。


次に会ったのは、5限で使う英和辞書を忘れて、それを借りに行った時だ。家に帰れば電子辞書があるのによー、なんて思っていたら、またあの女子と柳先輩が話してる。邪魔するつもりじゃなかったけど、少し乱暴にドアを閉めると2人がこちらを向いた。


「赤也じゃないか。何か借りに来たのか?」

「うぃーッス。辞書忘れちまって」

「斎藤、後輩の赤也だ。
確か、お前の2つ隣のクラスだったと思うが?」

「…てことはアンタ、B組?」

「うん、切原くんだよね。よろしく」


2年生エースって有名だよ、なーんて言われると、まぁ悪い気はしない。いい気分でしゃべってたのに、柳先輩の「この本はどうだ」って声に遮られた。『純文学のススメ』…うぇ、見るからにつまんなそう。


「お前は日本文学に興味を持っていたようだからな…。この本にはいろいろなタイプの作家の作品が紹介されている。この中から、自分に合ったものを探すといい」


『その方が、手当たり次第に読むよりいいだろう?』そう柳先輩に微笑みかけられて、斎藤がまっかっかになる。

柳先輩の手から本をひったくり、めちゃくちゃに裏返った「ありがとうございました」を繰り返して風のように去っていった。…なんだよ今の。

幸村部長にその話をしたら、『柳はああ見えてファンが多いからね』って笑ってた。ファンなら仁王先輩とか丸井先輩とかのが多そうッスけどって言ったら、柳のファンは真剣な子が多いんだよと、ジャッカル先輩。

俺だって柳先輩は尊敬してるけど、女子ってああいうのがいいもんなのか?柳先輩みたいなエスパーより、俺の方がとっつきやすいし、正直モテると思う。アイツって訳分かんね。


昼休み、サッカーをしに行く時にB組の前を通りかかった。友達と笑ってる斎藤の姿が見える。見たことない顔。

今日は図書室行かねーんだ、なんて思う日が続いたある日、アイツがいつもの席にいなかった。

なんとなく確信があって図書室に行くと、柳先輩と談笑するアイツ。水曜日は生徒会の集まりのない日。つまり、柳先輩が図書室にいる日。


「赤也か。今日は何を、」

「アンタって柳先輩に会いに図書室来てるわけ?」

「え…」

「だから、柳先輩に会いたくて来てんの?」


斎藤の喉がヒク、と上下する。図星かよ。

つーか何で柳先輩?同じ学年に、俺っていうもっと魅力的な男がいるじゃん。お前だって、俺のこと知ってたじゃん。読書家な男がそんなに好きなわけ?


「ち、違うよ!私はただ本を借りに…」

「アンタ、柳先輩がいる水曜日だけ来てるだろ」

「それは、柳先輩におすすめの本を教えてもらいに…」

「だったらこの前のはなんだよ!」


何でこんなに頭にくるのか、自分でもよく分からない。ただ柳先輩の後ろで怯えてる斎藤の顔とか、抱えてる『純文学のススメ』にイライラする。それから、俺を嘲笑ってるミッキーマウスにも。


「…斎藤は本を読むのが早いからな。一週間もあれば、借りた本を全て読み終えてしまうんだろう。違うか?」

「は、はい」

「俺もちょうど、水曜日は時間があるからな。それだけのことだ」


柳先輩にそう上手く丸め込まれて、何も言えなくなる。じゃあ俺は何でここにいるんだ?


「…柳先輩、国語辞典ってどこッスか」

「赤也、お前また辞書を忘れたのか?」

「……ッス」


鞄の中でずしりと辞典が幅を利かせて、俺はどうしてもっと小さい本にしなかったんだろうって後悔した。




「今すぐ使える雑学、ギネスブック2010、空想力学読本……切原くんって変わった本ばかり読むんだね」

「お前、今馬鹿にしただろ?おもしれーんだぞ、これ」

「…赤也はもう少し、文字の多い本を読んだ方がいいな」


水曜日の昼休み。俺は珍しく膨らんだ鞄を持って、図書室を訪れる。俺はテニスも、本を読むのも早いから、一週間もすれば読む本がなくなっちまう。


「でも知らなかった。切原くんって本が好きなんだね」

「…好きなのは本だけではないと思うが?」

「そっ、そういう柳先輩は何読んでるんッスか!」


少しくらい、読書家な男になってみるのも悪くない。












これ夢小説なのか微妙ですが…書くの楽しかったです。

夏休みの空いた日ってだいたいアニメ見て終わっていっちゃうんですが、最近図書館に通ってます。うちの最寄りの図書館、めちゃくちゃ綺麗になったんです…!

前の隠れ家的な、怪しい雰囲気の汚い図書館も好きだったんですが、エレベーターがなくて4階まで本抱えて上るのがしんどかったです。ご老人と子どもには行きづらかったと思います。

今は他にやることが多くて(アニメ見なければいいんですが)なかなか本読めてないんですが、またいろいろ読みたいです。

高校の図書館の充実ぶりが尋常じゃなかった。
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