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生まれ変わるなら


ずっと前にサイトに上げていた黒曜の小話の書き直しです。前とはラストをちょっと変えました。








もう一度生まれ変わるなら、何になりたいか。そんな話をしたことがあった。

日本での一仕事が始まる前。この黒曜センターが、まだ真新しく感じられた頃。



「俺はっ、俺はっ、骸さんになりたいれす!らって強いし、かっこいいし!」

「ありがとう、犬」



骸様にそう言われて、犬ががしがしと頭を掻く。照れている時のクセだ。

そんな犬を見ていると、ふと骸様と目が合った。スッと、その目が細くなる。



「ねぇ千種、千種はどうですか」

「え…」

「千種は、生まれ変わったら何になりたい?」



生まれ変わったら。

もしも生まれ変わったら、俺は何になりたい?

犬のように骸様に?…いや、それは違う。そんなのは想像できない。俺は骸様にはなれない。

それなら何に。俺は何になりたい?そもそも、もう一度この世に生まれてきたいと思うだろうか。



「………分かりません」

「っひゃぁー!柿ピーつまんねぇ!!!」

「クフフ…千種らしいですね」



犬があんまりげらげら笑うから、そこら中に埃が舞う。骸様はそれを軽く手で払いながらも、何も言わずに笑っていた。




日本での一仕事は失敗に終わった。なぜそんな話になったのか、今となっては分からない。骸様か犬の、ただの気まぐれだったのかもしれない。


でも今なら答えられる。

もう一度生まれ変わったなら、また骸様のお傍に生まれよう。もしもそれがかなわなくても、犬と2人で骸様の元に行こう。


何度生まれ変わっても、骸様のお傍に。犬と2人で。

そう言ったら、あなたはまた「千種らしいですね」と笑うだろうか?


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