本当は限られた時間の中でしか許されないことだったんだ。
それに気づいたのはつい最近だ。

家族は私が生まれたことを祝福してくれた。
それなりの、いや…溢れんばかりの愛情を注いでくれたに違いない。
すると、どうだろう。
愛を受けるのに慣れてしまった私。
やがて大人になる時期がきた。
上手くいかない人生に立ち往生、挙句の果てに「疲れた」と全てを諦めたように呟く。

なんのために、家族が祝福してくれたのか。
分からない。
生まれたときは何も分からなかったから。
誰が祝福していたかなんて分かりっこない。

どうして家族はまだ君のことを支えてくれているんだろうね?
保険じゃないかな?
万が一のときに私に面倒を見てほしいから。

本当にそうだと思う?
どういう意味?

家族だから、仕方がないから、君を手助けしている?
そうだ。
仕方のないことだと、向こうは受け入れてるんだ。
そんなに嫌なら切り捨てればいいのに…

そんなこと思ってないのは自分が一番よく分かっているんじゃないかな? 

君は、家族が仕方なしに居てくれていると思っている。

けれどそれは間違いだ。

彼らは生きているからそこにいるんだ。

たまたま君もそこにいるんだ。

家族だからいっしょにいるように見えるんだろう。

でも本当は偶然居合わせただけ、たったそれだけなのさ。

それだけで君は今まで生かされてきたんだ。

生きることを、偶然居合わせた彼らに"許されて祝福を受けた"。

君は生まれながらに幸福を手に入れていたんだ。

受けるはずのなかった幸福を。

幸福を受けた君の成すべきことは一つ。

支えてくれた家族と向き合うことだ。

君が君として生きていけるのは、彼らがいなければ有り得なかったのだから。

死が怖いからと言って彼らから目を背けるのは、それこそ罪と言うものだろう?

向き合うんだ。恐れるな。これは君が生を受けたときから定められた試練なんだ。

"運命"とも"宿命"とも言うけどね。誰もが乗り越えていかなければならないことだと、私は思っているよ。



あなたは、誰?


私は君であり、私だよ。いつも君を支える者の一人だ。
どうか理解してほしい。そして受け入れてほしい。君は一人ではないということに。