前回の物語より……


昼食時に落とした おにぎりを拾おうとした少年は
坂道を転がって 通りすがりのお姉さんにぶつかったのでした………




「あいたた(>_<) 何?今のは……」



公国服上下を着た 緑髪のお姉さん 座り直して辺りを見回すと近くに公国服上下を着た少年が倒れています……


「まぁ たいへん……

…きみ ねぇきみ……」



呼び掛けど返事が ありません


「もしかして…死んでる?…
落ち着いて 落ち着くのよ わたし……
まずは深呼吸……」



突然の事態に お姉さん あわてかけるも冷静に対処しようとします……
右手のひらを少年の顔に近づけると……



「……息は……してるわね……気を失ってるだけ?
しばらく待てば目を覚ますかしら……


…ふふ かわいい寝顔……」



お姉さんは 少年を見守る事にしました……





(……なんや えぇ気持ちや……あったこぅて……やわらこぅて………えぇ匂いや………)



お姉さんは少年の頭を膝(ひざ)にのせ その寝顔を眺(なが)めてます……

その白く細い指先で少年の頬をつつき始めました……


「ふふ…プニプに〜〜」



「……うっ ……うっ〜ん」


少年が目を覚まします



「……あっ?!」


「あら?
…気がついた?」




少年は目覚めると自分を見下ろす 若い女性の顔が見えました……



!!…………



少年は あわてて飛び起きると
土下座して謝ります……



「すんません すんません
なんや よーわからんけど
えろすんません…」



見事なジャンピング土下座です………


お姉さんはビックリしたのか 固まってます………



(はっ! あかん あかん 共通語や… 共通語 使わな あかん……)


「あの〜 何だかわかりませんが ごめんなさい…」


少年は地面に額を擦り付けて謝ります……



「あっ いいの いいの ……それより大丈夫?
どこか痛いとこない?」



お姉さんは少年を心配そうに見ています……



「あっ どこも痛くないです……もしかして助けてくれたんですか?」



「えぇ まぁ……転がってきた岩に わたしと一緒に巻き込まれたのね……
おたがい怪我がなくてよかったわ」



(…(-_-;)まずい わいが転がって このお姉さんにぶつかったんや……どないしょ…)


「あ あの お姉さん……」

「うん?」

「その …ぶつかった岩は
実は……僕なんです!!
ごめんなさい!!!」


ゴッ!!


再び地面に額をおもいっきりぶつけます………
顔が地面に埋まってます



「ちょ ちょっときみ!!」



お姉さんはあわてて少年に駆け寄ると後頭部を引っ張って地面から引き剥(は)がします………


「ぷはー ……死ぬかと思うた……」


泥だらけの少年の顔

「ふ ふふふ……あははは
おかしい」

笑いすぎて お姉さん目尻に涙が浮かんでます……


「ぷっ あはははは………」


つられて少年も笑い出します………



何がおかしいのか わかりませんが 二人しばらく笑いあいます…………



「ねぇきみ シュリンガーの公国教会に行くんでしょ?」



「な 何で わかんたんです?」


少年は驚きます どこに行くかは話してないからです……



「ふふ それはね きみの着ている服」


「服?…ですか?」



「それに成人の儀式を受けて冒険者になろうとしている」



「あ 当たりです……」


全て言い当てられて少年はビックリ!!……………



「かんたんな事よ 君が着ている服は わたしと同じ公国服……成人の儀式を受ける人が必ず着るものなの…そして 成人の儀式は公国教会でしか受けられない…どう? わかった?」



「…なるほど…なるほど」


少年はしきりに感心しています……



「わたし きみのこと
気に入っちゃた……
きみさえ良ければ きみのパートナーにしてくれないかな?」


「へっ?パートナーでっか…」


少年はビックリです………


「うん パートナー……
YOME(ヨメ)とも言うよ…」


「よ 嫁〜!?」


少年には 冒険者になって お嫁さんを探すという密(ひそ)かな目的もあるのです………
いきなり目的が叶(かな)いそうになって驚きで気を失ってしまいました………

ひとり残された お姉さん……


「……き きみ!! ねぇきみ!!」


気絶した少年の顔は幸せそうです……



「もぅ…しょうがないわね」

お姉さんは少年を背負うとシュリンガー公国城を目指して歩き始めました……



こうして 二人は出会い 冒険者となり今も歩き続けているのです……





ある少年の物語………

ひとまず 終わります