前回の物語より……

ある寂(さび)れた村に住む
少年は冒険者に成るための儀式を受けるため シュリンガー公国城内にある教会を目指して 旅立ちます……




「それにしても 酷(ひど)い道や ほんまに道なんか これ……」


村を出た少年は 山刀を片手に藪(やぶ)を払いながら公国へ続く街道を目指します……
あまりに辺鄙(へんぴ)な村なので訪れる人も絶えて 久(ひさ)しかったのです…


「こら ほんまに今日中に たどり着けるんやろか?」


少年は愚痴りながらも前へ進みます……



「はぁ〜…やっと抜けたわ
ごっつう疲れたわ…」



朝 村を出たのに 日は高く 上りもうすぐお昼です……



「もう お昼やないかい!
飯にしよ めしに……」



少年は山刀を腰の鞘に戻すと岩を背に座り 風呂敷包みから お弁当を取り出します……



「大地の恵みに感謝して…

ほな いただきます……」



少年が 握り飯にかぶりつこうとすると

「…あっ!」


手を滑らせ握り飯が下に落ちてしまいました


「あちゃ〜わいとしたことが……
しゃ〜ない 拾って食うたろ…」


握り飯を拾おうと手を伸ばします……



「あっ?」


何と少年は 座った姿勢のまま転がり始めました

ここは坂道だったのです
かなり勾配のキツイ……



「誰か〜〜わいを止めてぇ〜な!!」


少年の叫びもむなしく転がり続けます……



「…目が……まわるぅ〜〜
……」






「シュリンガーのお城 こっちでいいのかしら…」


ひとりの女性が街道を歩いています……
背は高く緑髪が目をひきます……
彼女も冒険者になるべく公国の教会を目指しているようです……





「あ あかん …わいの人生コレで終(しま)いや……
坂道を転がって終わる人生…………笑えんわ!!」


「……意識が……遠のいてきた……」




「?……何かしら後ろの方から変な音が気こるわ…」

振り返った彼女が見たものは……

「?……岩?
!!とにかく逃げなきゃ!!」

転がる岩とおぼしき物体から逃げようと背を向けた
途端(とたん)
追い付かれ一緒に麓(ふもと)まで転がってしまいました………





転がり続ける少年のゴールそれは通りすがりのお姉さんだったのです…………