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生まれ変わるなら


ずっと前にサイトに上げていた黒曜の小話の書き直しです。前とはラストをちょっと変えました。








もう一度生まれ変わるなら、何になりたいか。そんな話をしたことがあった。

日本での一仕事が始まる前。この黒曜センターが、まだ真新しく感じられた頃。



「俺はっ、俺はっ、骸さんになりたいれす!らって強いし、かっこいいし!」

「ありがとう、犬」



骸様にそう言われて、犬ががしがしと頭を掻く。照れている時のクセだ。

そんな犬を見ていると、ふと骸様と目が合った。スッと、その目が細くなる。



「ねぇ千種、千種はどうですか」

「え…」

「千種は、生まれ変わったら何になりたい?」



生まれ変わったら。

もしも生まれ変わったら、俺は何になりたい?

犬のように骸様に?…いや、それは違う。そんなのは想像できない。俺は骸様にはなれない。

それなら何に。俺は何になりたい?そもそも、もう一度この世に生まれてきたいと思うだろうか。



「………分かりません」

「っひゃぁー!柿ピーつまんねぇ!!!」

「クフフ…千種らしいですね」



犬があんまりげらげら笑うから、そこら中に埃が舞う。骸様はそれを軽く手で払いながらも、何も言わずに笑っていた。




日本での一仕事は失敗に終わった。なぜそんな話になったのか、今となっては分からない。骸様か犬の、ただの気まぐれだったのかもしれない。


でも今なら答えられる。

もう一度生まれ変わったなら、また骸様のお傍に生まれよう。もしもそれがかなわなくても、犬と2人で骸様の元に行こう。


何度生まれ変わっても、骸様のお傍に。犬と2人で。

そう言ったら、あなたはまた「千種らしいですね」と笑うだろうか?


柳夢

ヒロインの名前は『唯』です。唯ちゃんありがとう\(^O^)/

同棲してる設定・柳が会計士目指してる設定です。










恋人ができたらしたいことがある。それは、手をつないで一緒に眠ること。

大好きな人と手をつないで寝たら、一緒に幸せな夢が見られるんじゃないか、なんて。そんなの子どもじみてるって思いながらも、心のどこかで信じている。


だから蓮二さんに『一緒に寝るのはいいが手はつなげない』って言われた時は、ちょっと悲しかった。誰かに触れられていると、どうしても気になって落ち着かないんだそうだ。その気持ちはなんとなく分かるし、蓮二さんが嫌がることはしたくない。

だからこの小さなあこがれは、心の中の引き出しにしまっておくことにした。そんなのなくたって、私は蓮二さんがすきだもの。



蓮二さんはお父さんの影響もあって、会計士の勉強をしている。そしてそれと同じくらい、テニスをがんばっている。

会計士の勉強は遠征がないけれど、テニスは遠征がある。1週間以上帰って来ないこともあるし、だから私はテニスより会計士の勉強の方が好きだ。

そう蓮二さんに訴えたら、蓮二さんはいつも困ったような顔で笑う。その顔がとびきり優しいから、私は蓮二さんをそれ以上責められない。



明日からの合宿で、初めてのクリスマスは一緒に過ごせなくなってしまった。

本当はケーキも予約しちゃったんだけど、家族で食べることにしようかな。蓮二さんの好きそうなのを選んじゃったから、お母さんにはばれてしまうかもしれない。




「唯、帰ってからクリスマスをやってもいいんだぞ」

「ううん、大丈夫」




『初詣は一緒に行ってね』言ったら、蓮二さんは『約束する』って抱きしめてくれる。それだけで十分なんだけど、やっぱりちょっと寂しいな。

おやすみなさいのキスをして、そっと蓮二さんから離れる。

しばらくしてから、薄く目を開けると、子どもみたいなあどけない寝顔が目の前にあった。


投げ出された大きな手は、ぎゅっと毛布の端を握っている。

ちょっとした悪戯心がむくむくと湧いてきて、そっと毛布に手を伸ばす。寝ている蓮二さんに気づかれないように、じりじりとそれを引っ張った。


「ん………」




毛布がなくなった瞬間、蓮二さんがぴくっと反応する。一瞬どきりとしたけれど、空いた手のひらにするりと自分の左手を滑り込ませた。どきどきしながら蓮二さんの表情を見ていると、ちょっと眉間に皺を寄せて、それからきゅっと私の指先を握りしめる。

なんとなく落ち着いたのか、蓮二さんはそのあとすぐに幼い寝顔に戻った。くーくー、と小さな寝息。

その姿があまりに可愛いのと、してやったりな気分もあって、笑いそうになるのを堪えるのが大変だった。私の気持ちを知ってか知らずか、蓮二さんの表情がまた和らいだ気がする。

蓮二さんの手は、赤ちゃんみたいに体温が高くてあったかい。そのあったかさが私にも伝わってくるみたいで、ゆるやかな眠りに誘われた。






「…唯、行って来るからな」




頭の上から降ってきた声に、現実に引き戻される。蓮二さんをちゃんと見送ろうと思っていたのに、寝過ごしてしまったらしい。慌てて起きようとしたら、肩を押されてベッドに戻された。

既に細身のウィンドブレーカーに身を包んだ蓮二さんが、ずっと上から私を見下ろしている。




「蓮二さん、ごめんね」

「謝らなくていい」

「…気をつけてね」

「あぁ」




気の利いたことなんてなんにも言えなくて、当たり障りのない言葉ばかりが出ては消えていく。ずっと幸せな夢を見ていたのに、急にそれが夢だと気づいてしまったみたい。昨日は子どもみたいだった蓮二さんは、今はずっと大人びた目で私を見つめている。

もしかしたら、昨日のあれは夢だったのかもしれない。心の中の引き出しがふいに開いて、それが私に見せた夢。そうだったのかもしれない。




「あのね、蓮二さん…昨日、蓮二さんと手つないで寝たんだよ」

「…?」

「覚えてる…?」




なんでだろう。目頭がきゅーっと熱くなってくる。

蓮二さんは私を見て、またあの困ったような笑顔で前髪をくるりと梳いた。




「ずっとお前だと、分かっていたさ」




蓮二さんは前髪を一房掬うと、ちゅ、と小さくキスを落とす。

『まだ早いから寝ておけ』という声に、上手く答えられたか分からない。あんまり嬉しくて、たまらなかったから。


蓮二さんが帰って来たら、またこっそり手をつないでみようか。そのくらいのわがままなら、許してくれる気がする。






















はすぢさん書くの楽しいッス\(^O^)/

夢のない赤也くん夢

名前変換なし!赤也くんがほとんど活躍しません。












アドレス帳の『き』の行から、『切原赤也』を消した。でもこれは意味がない。なぜならアドレスも電話番号も覚えてしまったからだ。


赤也くんは待ち歌を設定している。あの、電話のコーリング音を変えられるやつ。

初めて一緒にライブを見に行ったインディーズバンドの、唯一ヒットした曲がそれだ。アルバムが妙に高くて、2人で半分こずつお金を出して買った。

赤也くんは5番目の曲が一番好きだって言ったけど、その曲はいつまで経っても着うたにならない。代わりにこの曲だけは、着うたにも待ち歌にも設定できる。



「…どうした?」

「ううん、用はないけど」



もうすぐサビに入るというところで、音楽が途切れる。聞き慣れた声が流れてくると、胸の中のもやもやがあっという間に薄れていった。でもこれは、電話を切った途端に数倍の勢力を持ってまた復活する。それが分かっていても、いちいち11ケタの数字とコールボタンを押してしまうのだから救えない。



「なんだよ、なんもないのかよ?」

「うん、何してた?」

「風呂入ろーかなって思ってたとこ」

「あ、ごめんね。入って来ていいよ」

「いや、別にいいぜ」



受話器から聞こえる雑音で、赤也くんが自室に移るのが分かる。

あのごちゃごちゃした、統一感のない乱れた部屋。あの部屋にもう一度行くことはあるんだろうか。優しくしてくれたお母さんに、別れたことが知れると思うと胸が痛んだ。



「数学の小谷、また赤点引き上げたんだよ」

「うっわ、まじかよ。うちも言われっかな」

「多分。赤也くんやばいね…あっ、それは元々か」

「るっせーな」



赤也くんが笑ってくれる。それが嬉しくて、私はまた取り留めのない話を続ける。

赤也くんは可愛くて面白いけど、怒るとすごく怖い。だけどそれは、いつもがとっても優しいからだ。こうやって赤也くんと別れた寂しさを、赤也くんで埋めている私を許してくれる。テニスコートを囲んで騒いでる、あの子たちはきっと知らない。


お別れは私が切り出した。赤也くんはひどく怒って、泣いて、でもその日から連絡を寄越さなくなった。それが答えなのだと思う。

私たちはお互いにお互いのことが好きで、それは間違ってない。だけど噛み合わなかった。

私は赤也くんの全部が知りたくて、全部が欲しくて、でも気付いた。この気持ちは普通じゃない。だけど我慢したまま付き合うのは、もっと辛いことのように思えた。

女の子とのメール、電話、交友関係。好きなアイドルの画像、ちょっとエッチなサイトのブックマーク。

私が疑うような事実はなにもなかった。女の子と遊んだりすることはあるみたいだけど、それだけ。赤也くんには私のいない赤也くんの世界があって、ただそれだけ。

誰も悪くない。赤也くんも、女の子たちも。私は何を知りたかったんだろう。



「赤也くん、あのね」

「ん?」

「携帯、買い換えて欲しいの。お金出すから」



携帯を見たと言った時も、赤也くんは怒らなかった。ちょっとびっくりしたような顔をして、『つまんなかったろ?』って笑う。

小さく頷くと、赤也くんはいつもより強い力で抱きしめてくれた。『不安にさせてごめんな』って、謝ってくれた。謝るのは私の方なのに。

あったかい腕の中で、肩に染みをつけながら泣いた。それはごめんなさいの涙じゃなくて、お別れの涙だった。



「私、このままじゃずっと赤也くんに頼っちゃうから。番号もアドレスも、変えて欲しいの」

「…そんなの、お前にとやかく言われることじゃねぇよ」

「お願い」



『私のこと、まだ好きだったら。』そう言えば、赤也くんが断れないのは知っている。

着信拒否や受信拒否は出来ても、発信拒否や送信拒否は出来ない。携帯電話は、そこまで人の心に寄り添うようには出来ていない。

私は赤也くんのことが大好きで、だからこそもう一緒にいたくない。

2番目に好きな人と結婚すると上手くいくっていうけれど、その理由がやっと分かった気がした。必死になり過ぎてしまうと、恋愛は上手くいかない。自分で自分の首をどんどん締めてしまう。



「ごめんね」

「うるせぇよ」



ブチッ。唐突に通話が切られる。真っ黒になった画面には、通話時間と通話料金が当たり前のように表示されていた。やっぱりなにも分かっちゃいない、この電子機器は。


今度こそ、赤也くんは私を嫌いになっただろうか。それならやっと、ハッピーエンドを迎えられる。









なんじゃこりゃ\(^O^)/

いつか赤也くん視点も書きたいです。ていうか赤也くん視点を書かないと、この話は訳が分からん…でも絶対書かない(笑)

黒曜小説

これはに/ちゃんの『意味が分かる/と怖い/コ/ピ/ペ』にあったお話を黒曜(千種・犬・クローム)を登場人物にリメイクしたものです。

そういう主旨のものがお嫌いな方、また、死ネタなのでご注意下さい。

読んだ時『これは黒曜だろ…!』と思ってすぐ書きました。こういうのって初めてですどきどき。










「…ねぇ、まだ?」


俺はクロームの背中に向かって言った。どうして女っていうのは、支度に時間が掛かるのだろう。めんどい。


「もうすぐ済むから、待って…犬、少し静かにして」

「あんまりバタバタしないでよ」


犬ががひどく暴れるから、床に積もった埃が巻き上げられる。

俺は眼鏡を押し上げて、それがきらきら光るのを見つめた。


「…骸様、いきなりでびっくりしないかな」

「多分、大丈夫だと思う。歓迎してくれるよ」


やっと大人しくなった犬を、横目で見ながらそう答える。骸様はきっと、この突然の訪問を許して下さるだろう。いつだって俺たちを、そしてクロームを許して下さった方だ。


「千種、もういいよ。…あっ」

「なに、」

「…ここ」


クロームが首元を指差すので触ってみる。


「…忘れてた」

「千種がうっかりするなんて、珍しいね」


クロームは俺の首周りを整えながら、ふわりと笑う。

いつからこんな風に笑うようになったんだろう。前は顔に貼りついたような表情しか見せなかったのに。クロームと出会ったのも、今では遠い昔のことのように感じた。


「…なに、いきなり」

「……お願い」


クロームは下を向いたまま、俺の右手に控えめに触れる。顔はよく見えないけれど、さっきより、頬がほんのり赤く染まっていた。照れているみたいだ。


「………」


少し気恥ずかしかったけれど、別に気分は悪くない。俺はクロームの手を、強く握り返した。



「行こう」

「…うん」


俺は、足下の台を蹴った。














まぁプロのヒットマンが自殺の方法に首吊りを選ぶかどうかは別にして、これの元ネタを読んだ時『こ、これは…!』と思ってすぐに黒曜に変換してしまいました。

本当はクロームちゃんの位置をM.Mちゃんにしようと思ってたんですが、そこまでしてクローム=ボンゴレを押し出すのは可哀想な気がしたので、一緒にさせてもらいました。というかM.Mちゃんは千種とは死んでくれないと思う(笑)

勝手なイメージなんですが、晴の守護者って一番生に執着してる面があるような気がしています。

デイジーも『死ねない』って意味で生きてるのかなーと。あ、でもルッスはネクロフィリアだ。だめか\(^O^)/

犬ちゃんは最後まで生を諦めなそうな気がします。

そしてまたまた勝手な見解なんですが、結局黒曜内恋愛(?)は千種とM.Mちゃん、犬ちゃんとクロームがくっつけばいいなーとか思ってます。

骸とランチアさんは一生独身。ランチアさんは自分が幸せになっちゃいけないっていう思いがあるし、骸にはずっと千種や犬ちゃんを見守ってくれるんじゃないかなーと。でも2人に幸せになって欲しい。

赤也くん夢


相変わらずの名前変換なし。ふわっとした夢です。というか夢じゃない。










『6時に××神社に集合ね』


女子からのメールを確認して、液晶画面をぱたんと閉じる。

今日は今年最後の夏祭り。この前の球技大会の打ち上げも兼ねて、クラスのみんなと花火を見に行くことになっていた。待ち合わせは近所の神社前。

制服でもユニフォームでもなく、私服で学校の奴らに会うのは随分久しぶりな気がする。

箪笥の奥から服を引っ張り出して、適当に合わせた。んー…こんなもんでいっか。いつもと変わり映えしねぇけど。

鏡に向かってちょいちょいっと前髪を直して、財布と携帯をポケットにつっ込む。待ち合わせ10分前。

姉貴に声をかけて家を出ようとした時、ブブブ…と携帯が振動した。電話だ。


「よぉー、赤也」

「おう。なんだよ」

「まだ家か?」

「今出るとこ」


携帯を耳に当てると、クラスメイトのやかましい話し声が耳に飛び込む。もう集まって来てるのか。

『いいこと教えてやろっか』なんて、電話越しでもコイツのにやにやした顔が思い浮かんだ。すぐになんのことだか分かる。


「今日は来ねぇって」

「あ、バレたか」

「予定があるんだってよ」


同じクラスの斎藤ユキ。別に飛び抜けて可愛いって訳じゃないんだけど、なんとなく気になる女。

身長は俺よりちょっと小さいくらいで、目立つ訳でもなく、かといって静かすぎる訳でもない。つまり普通。平凡な奴。

だけど俺は、なぜかコイツを気づけば目で追っている。大して話したこともねぇのに。

球技大会では卓球に出てたらしくて、卓球なんてだせーってサッカーにしたのを少し後悔した。ま、俺大活躍だったけど。ハットトリックだっけ?サッカー部門MVPに選ばれたし。斎藤、知ってっかな。


「あー…らしいな。残念だったな?」

「わざわざそれ言いに電話したのかよ。もう切るぜ」

「わ、悪かったって、そう怒んなよ」



改めて聞かされるまでもなく、斎藤が今日の夏祭りに来ないことは知っていた。放課後友達にそう話していたのも聞いていたし、予定があるなら仕方ないのも分かってる。

だけど斎藤の私服が見られるのかなぁなんて、一瞬でも期待した自分がいるのも確かだ。どんなのかなって想像して、一人で盛り上がって、くだらねぇ。


「そのことなんだけど、斎藤来るぜ」

「…え」

「あんまり赤也くんが可哀想だから、俺が手回ししてやった訳」


どくん。心臓が大きく脈打つのを感じる。

どうやってとか、なんでとか、言いたいことはたくさんあるけど後でいい。

うるさくしゃべってる携帯を置き去りにして、俺はリビングに駆け込んだ。



「姉貴っ!!!俺の恰好変じゃねぇ!?」

「…はァ?」



結局待ち合わせには大遅刻、みんなにはこっぴどく怒られることになった。

でもだからなんだ。俺を見て斎藤が笑ってくれたから、それでいい。















就職に対する意欲がなさすぎ…る……\(^O^)/