前回のひとりごとより……

料理が運ばれてきたので
ワタシ達は 食事を始めた……





…ちぎったパンをスープに軽く付け お互い黙々と口に運ぶ

ワタシ達の間には大皿……
そこには山盛りの千切りキャベツと粉を付けてカラッと油で揚げた鳥肉が2人ぶん鎮座(ちんざ)している……
食べきれるかな?
初めて頼んでみたのだが
…………




「ねぇ…」
「なぁ…」


「「………… 」」


「きみから どうぞ……」

「…いや 君から……」


「「……………… 」」


同時に言葉を発し
お互いに遠慮(えんりょ)してしまう……

お互いの 息が合いすぎるのも困りものだ……



「…このキャベツ 凄い量だな……」


「……うん…」



パートナーがおとなしい…さっきの事を気にしているのか………


皿のカラッと油で揚げた鳥肉を1つ 千切りキャベツもキャベツバサミで一掴(ひとつか)み 自分の小皿に移す


「……さっきの事だが


エリアボス“グランマ”に挑戦してみようと思う……」



「……!!」


パートナーは驚いて顔を上げる……


「……その……きみは ……だいじょうぶなの?」



ワタシは グランマ に初めて挑戦して以来 ずっと避(さ)けてきたのだパートナーが驚くのも
無理はない………



「……正直 ワタシ達単独で挑戦するのは 無謀かもしれない……

酒場に助っ人依頼は出す…
誰も来ないかもしれない…
今回1回だけワタシに付き合ってくれないか?

……もし ワタシが先に倒れたら直ぐに撤退してくれ」


ワタシは椅子に座ったままパートナーに頭を下げる


パートナーは考え込んでいるのか無口だ……


ややあって

「……あたまを上げてよ
この量の料理わたしひとりじゃ食べきれない
でも ふたりなら完食できる……

たとえ時間がかかっても

………ねっ!」

パートナーも自分の取り皿にキャベツとカラッと揚がった鳥肉を移し奮闘していた…
だが大皿に残る料理は手強い……


「そうだな……ワタシもやってみせるさ」


再び食事を続行する
ひとりでは難しくても
ふたりなら達成できる可能性がある……

2人旅のなんと心強いことか……

“またパートナーに助けられたな……”

ひとり愚痴(ぐち)ると
箸休めに小皿のカブの浅漬けに手を伸ばし 口内でほどよい歯ごたえを楽しむ…



女の子二人で食べるには
量が多すぎた……
ワタシ達は まだ少女の範疇(はんちゅう)に入る身体(からだ)をしている
男性冒険者用の料理を注文したことを 少し後悔したが 何とか完食する事が出来た……


これから挑戦するエリアボス“コノミグランマ”との戦いも時間は かかるかもしれない……

しかし 最後まで戦い抜けるかもという根拠(こんきょ)なき自信は今回の食事の件でついたと思う……

ワタシながらおかしな事だ
……フフッ
思わず笑みがもれてしまう


「な〜に? おもしろいことでもあった?……」



パートナーがワタシの顔を見上げこんでくる……



「……いや 何でもない」



「そっか〜 じゃ合成の終わった“ゲルミンフード”
出品に 行こうか」



「……そうだな いくらで出品すれば いい?」


ワタシは相場が分からないのでパートナーにたずねた……



「…う〜ん? とりあえず
一万Zellで出してみよ
売れなかったら その時考えようよ?」



「……わかった 君の考えでいこう」



ワタシ達は市場に出品に向かった……………