前回のひとりごとから………


日替わり依頼 “ボンドに寄付しよう”を済ませ
ワタシ達はシュリンガー公国城前 2本サクラの咲く円形広場にまで戻ってきた……





「ねぇ…掲示板を のぞいてみよう?」


パートナーが誘(さそ)う……


「……そうだな 少し見ていくか…」


特にやることも無いワタシは覗(のぞ)いてみる事にした…………




「うゎぁ〜 いっぱい書きこみがあるね…」


「……そうだな…」



自分の存在を訴えるモノ 達成の報告
神へのお礼 神への冒涜(ぼうとく) 人捜し 探し物 顔文字…
…実に様々(さまざま)な書きこみがあった……


「……特に必要な情報は無かったな…」


「う〜ん……そうだね…
そうだ ボンド募集のほうも のぞいてみようよ」


「……?
……なぜ?
ワタシはボンドに所属するつもりは無いのだが?」


「うん しってる きみが 他の人が苦手なのは…」

「きみとは もぅ230日 いっしょにいるから たいていのことは わかるよ……」


「なら 何故(なぜ)? 今さら……」


「う〜ん これまでは ふたりで 何とか やってこれたけど……
これから先 ふたりで やっていけるか わからないよ
それに“この世界のことをしりたい”って言ったよね?」


…!!


「ボンドに入ってみるのもいいんじゃないかな?」


「………むぅ…」

ワタシは考える……
確かにボンドには まだ入ったことは無かった………
ワタシは まだボンドがどういうモノか知らない……
知識を欲する者として識(し)らなければ…………


「……君の言う通りだ
“この世界を識(し)りたい”
この気持ちに変わりは無い……」

「……また 君に教えられたな……」



「ふふ きみの そういうとこ だ〜い好き……」


パートナーから満面の笑みがこぼれる…



「やはり 君は 可愛いな……」

思わず口に出てしまう…


「もぉ……バカ…」

白い頬(ほほ)を赤く染め
パートナーは俯(うつむ)く…

その仕草(しぐさ)の可愛いさを見て 彼女に選ばれて良かったとワタシは心底思った……



「そんなことより 掲示板!」

照れ隠しなのか語気が荒い……


「…あ あぁ……そうだった」

怒った顔も可愛いなぁ と見とれている場合じゃない
ワタシは掲示板を覗き込む……


「へぇ〜 いっぱい あるんだ…」

ワタシの左に立ちパートナーが覗き込む……



「…う〜ん こんなにあるとどこに入れば いいのか
困るよね」


「……そう だな…」

とにかく数が多いのだ…
更新釦(ボタン)を押してページを進めるのだが 後戻りが出来ない…
気になったボンド名を見付けても更新釦を押すと
再びそのボンド名を見付けるのは困難なのだ…

何度か更新釦を押した後(のち) ワタシは あるボンド名が目にとまった……

“君の物語”

何か 心ひかれる モノがあった……


「…えっと “君の物語をつむぎだそう”……

これに ……するの?」


大きな瞳を まんまるに開いてパートナーは訊(たず)ねる………


「…あぁ これにする
何か気になるんだ……」


「ふ〜ん きみがココにするなら わたしはかまわないよ♪」


「なんだか 嬉(うれ)しそうだな……」


腰の後ろで手を組み ワタシを見上げるパートナー


「…べつに (^ロ^;……
新しいことの はじまりだね…」


「…そうだな 何を識(し)り 何を得ることが出来るのか…
楽しみだな…」


「うん♪ 行こう 新しいせかいへ…」




ワタシは掲示板にボンド入会申請を出すと シュリンガー公国を後にした……