・・・ボンドとは“絆(きずな)” 他人(ひと)と人(じぶん)を繋(つな)げるモノ その中ではそれ以外の他人を寄せ付けないモノ………






ワタシはパートナーと共にシュリンガー公国を訪れていた……
日替わり依頼の1つ“ボンドに寄付しよう”を達成する為である……
長い石段を登り 山中にあるシュリンガー公国の巨大な門をくぐる…
巨大な扉は固く閉ざされており その扉に設(もう)けられた小さな扉をくぐり抜け城前通りに入る……
通りの左右には建物が並ぶ……
門から入ってすぐ 通り左側に酒場が存在(あ)るためか時間帯によっては冒険者(ひと)で ごった返す…

ワタシ達が訪れたときは
町人(まちびと)が数人 通りに出ているだけで静かなものだった………

町は雪が積もり見上げると寒々とした曇天(どんてん)
この国の 何時(いつ)もの風景に思わずため息がでる……

この雪は永遠に溶けないのではないか?…
この曇天は二度と晴れることは無いのではないか?…

そんな陰鬱(いんうつ)な気分になるのだ……


通りを進み突き当たりの石造りづくりの坂を上がるとシュリンガー城前 円形広場に出る
ここにはサクラの巨木が2本植えてあり この寒さの中 満開の花を付け この国の名物となっている………
まっすぐ進むとシュリンガー城……
右に進むと市場と貸し倉庫のある広場に……
左に進むと目的の教会がある……

ワタシ達は教会の扉を開け風琴(オルガン)の奏でる 厳(おごそ)かな空間へ歩(ほ)を進める……

「…元気? わたしは元気よ……」

入り口に立っている少女が声をかけてくる……

「……あぁ 変わりないか?」

「こんにちは 元気にしてるね……」

ワタシ達は少女に声をかける………

……以前 ワタシ達が助けた 魔物に両親を惨殺された記憶を封印した少女だ
ワタシ達を両親と慕(した)う事で悲しい記憶を乗り越えたのだ……
ワタシより頭1つ背が高いがワタシ達の娘とゆうことになっている……

彼女と世間話をした後
この教会の神父と話をする……
彼女の事 この国の最近の情勢等……


そしてボンドの拡張とゆう名目で ワタシは自ボンド“ちいさな夜歌”にZellを寄付する……
“ちいさな夜歌” 彼女を娘にしてから 養育費として
毎回1000Zellを寄付し続けている……

無論 自分のボンドにメンバーを募集するつもりはない……

これはワタシ達と彼女のモノだから………



寄付が終わり 神父から 金の水を受け取り
ワタシ達は教会を後にする………
ワタシ達の娘が手を振って見送る……

「また 会いに来て……」


「……あぁ また来る」

「元気でね……」



ワタシ達は別れを惜しみつつ 2本サクラが咲き誇る円形広場にまで戻った……