前回のひとりごとから……

ワタシ達はシュリンガー公国にある掲示板のボンド募集の中から 気になるボンドに入会申請をした……




「ねぇ きみ…そろそろボンド掲示板をのぞいても いいかも…」


申請をした翌日パートナーがワタシに声をかけてきた……


「……しかし…あんな書きこみをして ボンドに入れてもらえるだろうか?」


日替わり依頼を終わらせ
遅い昼食を取っている最中である……

パートナーが錬金合成したドフィノワーズで軽く済ませる……
これはジャガイモ 牛乳 ガーリックで合成出来る…


「なんて 書きこんだの?…」


「…うん ……冒険を始めて200日あまり ワタシ達は
個人で やって来た…今さらボンドに入ってやって行けるだろうか?……と」


「まったく……きみらしいね……」


パートナーがため息まじりに答える……


「……これで 入れてもらえたら よっぽどモノ好きなマスターだね」

「入会がゆるされたら そのボンド だいじにした方がいいよ……


わたしは きみと二人っきりでも かまわないけど…………」

最後の方は指を後ろに組みもじもじ しながら小声に なっていた……



「……わかった きみの言う通りだ……入会出来たら
大事にしよう…」




そしてワタシは精神を集中させ メニュー項目に心を繋げ(リンクす)る 頭の中にイメージが浮かび その中から フレンドの項目を開く ……ボンド掲示板に心を集中させると 掲示板の書きこみが頭の中に観えてきた……


「……どぉ?」

パートナーが聞いてくる…

…!!

「入会…だいじょうぶみたいだね……」


「……あぁ…」


「よかったじゃない……

入会した人は お礼を書きこんでるみたいだね…
きみも書きこんだほうが いいんじゃないかな……」

「…なるほど そうすれば失礼にならないな……」


[お誘い ありがとうございます]っと……


ひとまず安心する


「それから ボンドに入ると“ボンドチャット”が使えるよ…」

「…?……それは?」


「これはね ボンドに所属しているメンバー同士なら
どんなに離(はな)れた場所にいても会話ができるんだよ…
しかもこの会話はボンド以外のひとには見えないんだ…」



「……ほぅ そんな事が
なるほど知らない事ばかりだな……」

パートナーの説明に関心する……


ワタシはボンドチャットに意識を向ける……

ボンドマスターとボンドメンバーの1人が会話しているのが見えた

防具の譲渡について話しているようだ…

ワタシは知っている事を
書き込んだ……






……それから数日が過ぎた

ボンドチャット内でマスターとは何回か会話をしたが いまだに姿を見たことがない…顔はおろか性別すらわからないのだ……

ボンドに入ったら直ぐに顔見せの儀式があると思ったのだが……
他のメンバーとも会話をした事がない……
20人以上いるらしいのだが……

そのまま1週間が過ぎた…

「何か変だよ このボンド…」

ある日パートナーが不安げに聞いてきた


「…そうだな 聞く話によると ボンドとは賑(にぎ)やかで楽しく メンバー同士で集まって話をしたり狩りをしたり… するらしいが……」


「それに見て 数人のメンバーしかボンドにinしてない…」


そうなのだ フレンド項目に“ボンドメンバー”がある ここを見れば ボンドにいつ顔を出したかが
おおよそ解る…
中には1週間顔を出していないメンバーもいる……


いつの間にか名前の消えたメンバーもいた……



そして……ボンド掲示板に
突然ですがボンド抜けます
短いあいだでしたがありがとうございました

という書きこみがあり

その人は 数日後 居なくなってしまった……



「……これは マズくない?」


「……そうだな マズいな…」

……ワタシは
このボンドの行く末を憂いた………