やってしまっている…(現在進行でお送りします)
脇道にそれて高金創作中事件。
なんとなく書いてたら日記の追記に一気にアップするには長くなったので、プロローグ含め4部構成にして、やはりこちらに投下して行くことにしました。
という訳で、興味ある方のみ、続きからどぞ。
実家帰ってることだし、漫画読み返そうかな。高金のために。
…もう、かつての純粋な私には戻れない…(今更)
holiday
「今度の三連休、君の時間を私にいただけませんか?」
それは突然の申し出だった。
翌日の授業の予習はおろか、宿題でさえするつもりもなく、学校から家に帰ったはじめは、今日も一日授業そっちのけで気になっていた途中の携帯ゲームを起動させたところだった。
ふと、締め切ったはずの窓の方から風が吹き込んで来た気がして振り向けば、そこには指名手配中の殺人犯、高遠遙一が窓枠に優雅に腰掛けて「やあ」と挨拶をしてくる。他でもない、はじめに向けて。
いろいろとツッコミたい事は山程あるが、あり過ぎて言葉も出て来ず、はじめはゲーム機を握りしめたまま固まった。
暫くの後、混乱の頭の中に思い浮かんだのは、警察に通報…とにかく通報!という言葉である。
ゲーム機を放り出して制服のポケットに入れたままのケータイを取り出そうとする。
しかし、ズボンのポケットにも、ブレザーのポケットにも、もちろんワイシャツの胸ポケットにもケータイが入っている気配がない。
鞄の中に入れたっけ?と疑問に思った瞬間、視線だけは離さずにいた先の人物が、ニコリと微笑み、
「お探しの物はこれですか?」
と、見慣れたケータイを見せつけてくる。
「え!?おまっ…いつの間に!?」
「せっかく君だけに会いに来たのに、他人を呼ぼうなどと、野暮というものですよ、金田一くん」
そして、彼がそう言うと同時に、はじめのケータイは、高遠の手の中で赤いバラに姿を変えた。相変わらず見破る事も出来ない華麗なマジックによって。
「な、なんの用だよ」
逃げ道を考えながら威嚇するように尋ねたはじめに返って来た答え。
それが、冒頭のセリフだった。
なんで?
そして、それがはじめの素直な感想だ。
それはいつもの、高遠曰く“芸術犯罪の舞台”への招待という訳ではなさそうである。
むしろ、薔薇十字館に誘われた時の様に、助けを求められているように感じたのだ。
思わず警戒が緩んだ。
それに気づいてか否か、高遠は窓から腰を上げると、はじめの元に歩み寄り、真剣な面持ちで言うのだ。
「少し、気になることがありまして。確かめたい事があるんです。それには君の助けがどうしても必要でして」
そう、赤いバラを差し出しながら。
思わずバラを受け取った。
それを彼は肯定と受け取ったのか、ニコリと笑う。
「ありがとうございます」
そう言って。
「それではデートの詳細はまた電話にて」
「え!?デート!?」
「GOOD LUCK」
再び混乱するはじめを他所に、高遠はパチンと指を鳴らした。
瞬間、はじめの手の中の赤いバラは花弁を散らして弾ける。
驚いて目を瞑った。
その一瞬の内に、高遠の姿はなくなっていた。
そして、はじめの手の中には奪われていたはずのケータイがあった。
非通知の着信表示で震えながらー…
続