「おはよう。」
「おはようねぇねぇきいて!」
「え。なに。」
「昨日ね、きのうもね、チョコ見に行ったの。」
「うん。」
「朝からうっきうきで行ったんだけどさ、あまりにも楽しみにし過ぎて朝バイト入れてるの忘れてすっぽかした。」
「ブッ」
「その事実に昨日の夜気が付いて慌てて人事の人にラインを飛ばしたんだけど未だに返事が無い。」
「アー…」
「一応明日シフトがあるけど、朝来たら『お前の籍、もうねーから!!』ってあるかもしれん。」
「そりゃそうかもね。強く生きな。」
「ウン
でも罪悪感が微塵もない。わりと職場に対して鬱屈してたのかもしれない。そも遅刻確認の電話一つもなかったし。」
「…まぁ、本当にクビになったら私の元のバイト先を紹介してあげるから。」
「ハァイ。」
マジな話。いや本当に、楽しみにし過ぎてうっかりバイトがあるのを忘れてたのが私です。
ちゃんと朝は起きてたんだけどなァ〜〜!! 電話を無視したのかとびっくりしていろいろチェックしたけどどう見ても形跡がない。
人事さん以外に連絡先を渡した記憶もないし、平の人たちだけだと電話番号がわからなくてこっちに一本入れることができなかったかもしれない。グループトークにも入ってないし。いや平均年齢若すぎて気軽に「いーれてっ!」とかできんかった。
いや悪いことをしたなぁ。でも電話もないとか…。せめて一本電話くれたらすっ飛んでったのに…。しょぼん。
割と真剣に「お前の籍ねーから!」を想像した。そしたら脳内で「さぁリクルートだ!!」とささやく声があったのでまぁいいかと思った。
気を取り直してちょこちょこチョコ。
昨日も行った現場に再度赴いてるので今更買うものは少ない。ただ人間の数が違うので昨日見れなかった部分もじっくり目に見る。
そしてアイス! アイスは買わなかったカップアイスをもぐもぐ。…ちょっとはずれ。期待したメーカーのアイスはカップじゃなくてソフトクリームタイプで提供されたときのおいしさを知ってる分、カップに直すとこんなにおいしくないのかと思った。しょんぼりだ…。
友達にせっせとおすすめをお伝えしていく。今日一緒に付き合ってくれた友人は昨日とは違うメンツで、去年もこうやって一緒に回った履歴があるので案内もしやすい。去年は確かこの人もこの人もおすすめした記憶がある…。
そろそろ私も新規開拓しないと駄目だ。ネタが尽きる。うーん…。来年はこの人たちより一足先にチョコを見に行かねばならないのかも。
「えーっと。大体阪急はこれでおしまい。君ら去年も上下階はポケモン系統だけ見て他はスルーしてたはず。どうする。」
「いやもういいかなー。」
「わたしも。」
「んー、あとは大丸とかも寄れるけど。」
「いや近鉄だけでいい。」
「正直結構買ってる。」
「あ、そなの。」
「諭吉? あいつはいい奴だったよ…。」
「2人が目の前で消えていったんだ…。」
「3人目の犠牲は出したくないよね…。」
総員。犠牲者に黙とう。また帰ってきてね諭吉さん。
割とあっさり阪急を見終わって近鉄。こっちはこっちで昨日食べ損ねたチョコを食べ、途中合流した友達のお子さんを見てニコニコする。
うっかり買い逃した気になったチョコアイスはめっちゃおいしかったのでこっちでも幸せの味。すばらしい。
それも早い段階で各々用事があるからと解散。自分と一人だけ残った友人とでちょうどいいので本屋に。
「…どったの。それ。二冊だけ欲しいのがあってって言ってなかったっけ。」
「うん。…いや、ついこの本を見つけちゃって。手に取ったらもう、なんか、気になってた本の新刊全部ほしくなっちゃって…。」
「いやそれ…。何円分…?」
「昨日今日で買ったチョコとトントン。」
「わぁ。」
「去年より抑えてるから…!! 本買った代金含めても予算内だから…!!」
本当に欲しかった歴史と食文化を絡めて論じた新書と追っかけてる人のレシピ本が出たので欲しかったので買ったんですけどつい、ほんとうについ。最近ツイッタを騒がせるダン飯が目の前にさ…。
実は家に半分だけあって…。同居人が途中まで買ってたんだけど、途中で飽きちゃったらしくて買わなくなって途中でずっと放置されてて…。
アニメになって本当に欲しくなって、古本屋を回ろうかと思ってたんだけど脳裏に響く「作者へのお布施は新刊を買うこと。」って…。
…買っちゃったァ。ずいぶん懐は寂しくなったけど心はあったかい。それでいいのだ。