朝顔

○朝顔や家族に話こともなき
○朝がほや居心地のよき琥珀色
○朝顔に尾張の珈琲江のじかんとや
○朝顔や尾張の椅子にもたれけり
○朝がほや昼の人魂消えにけり
○朝がほやいつもあなたを待てをり
○朝顔や星につつまる心地かな
○朝顔や赤き座席に時間旅行
○朝顔や書斎光のマーカーペン
○朝顔やいつぞ自転車なかりけり
○朝顔や涙にむせて酢だこ噛む
○朝がほや武蔵の国の小京都
○朝がほや埼玉女子のわるい癖
○朝がほや埼玉のふち青春中
○朝顔や埼玉一夜すごしけり
○朝がほや尾張一首に荷揚げせむ
○朝顔やレンガひとつの色のむら
○朝顔やとくべつな日のキーマカレー
○朝顔やおはり裏切る片思ひ
○朝顔や尾張の空に深き色
○朝顔や商人みえぬ淀屋橋
○朝顔や熱田湊にむかしの人
○朝顔や尾張のまちの町づくり
○朝がほや拒みつづけて尾張人
○朝がほや父と老舗の喫茶店
○朝顔やてんびんにのる苦味甘味
○朝顔や創業当時のくろい罠
○朝がほや人好き合いもなかりけり
○朝がほや求めるものはなくはなく
○朝顔や眠らぬ街の筆記体
○朝顔や何層にして珈琲江日記
○朝顔やすごす時間の黄金比
○朝顔や麺は太めの名古屋人
○朝顔や豆煎る人の十五年
○朝顔やクリームソーダの昭和愛
○朝顔やなにを話そか迷いけり
○気取らずに喫茶と描いて牽牛花
○朝顔やフルーツサンドの並木道
○文豪の頭をほぐす牽牛花
○朝顔やスパイスカレーのふつうの日
○朝顔や毎朝みゆる店看板
○朝顔や無料の卵懐かしき
○文豪と音大生の牽牛花
○朝顔に青春の日のコースター
○朝顔やオレンジジュースたのみけり
○朝顔や小倉トースト皿の上
○朝顔や器の柄の気のすさび

薔薇

○洋館を設計したり赤い薔薇

朝顔

○朝顔やあまり見かけぬなった女性

朝顔

○朝顔に悲しき人の姿かな
○朝顔の忘れてつゆの化粧かな

朝顔

○朝顔や一輪教会覗きこむ

朝顔

○朝顔やあまり見かけぬなった女性
○朝顔の色やへだてて波の音
○朝顔の水や張りゆく紺の淵
○朝顔に張りゆく水の加減かな
○朝顔や歩幅に歌の見受けれり
○朝顔の朝に嫁ぎし人の顔
○朝顔に見慣れぬ箸や置きにけり
○古のたづねて見たり牽牛花

朝顔

○朝顔や一輪とする夢の跡
○朝顔や一輪として花とする
○朝顔や他にもかほを持ちにけり
○朝顔やよのなかをどうおもふべき
○朝顔に虎の半身や煙に巻き
○名筆に朝顔の見ゆ天下かな
○朝顔や行方の知らぬ隅田川
○朝顔の淵の便りも静なり
○朝顔に乾く盥の夕べかな


朝顔

○朝顔や一番きれいな帯三種
○水瓶に朝顔生けて龍の髭
○流線に己を浮かす牽牛花
○静かさや朝顔花の咲きにけり

朝顔

○朝顔やガラスにうつる朝の顔
○朝顔や恋かろやかに水を打つ
○朝顔や交わりもなく水の朝
○朝顔や彼方にうすくわれを打つ
○朝顔や知らぬ行方のごとくなり
○朝顔や彼方を水とたとえたり
○朝顔やもてなす水のありのまま
○朝顔やあえて答を知らぬけり

朝顔

○朝顔に悲しき人の姿かな
○朝顔の忘れて雨の化粧かな
○朝顔や一輪とする夢の跡
○朝顔や一輪として花とする
○朝顔や他にもかほを持ちにけり
○朝顔やよのなかをどうおもふべき
○朝顔に虎の半身や煙に巻き
○名筆に朝顔の見ゆ天下かな
○朝顔や行方の知らぬ隅田川
○朝顔の淵の便りも静なり
○朝顔に乾く盥の夕べかな

朝顔

◯朝顔にはかなき恋の願いかな