吐く息は白くなる。
寒空の下で、その白く生温い息を自分の手に当てて少しでもその寒さをしのごうとした。
信号待ちは退屈だ。
スクランブル交差点なんて、待ち時間が長過ぎてそれに寒さも加われば誰に向けるでもない苛々だけが募る。
今だって、この短い時間の中で僕は酷く苛々を募らせている。
深夜だから人通りも無く車もぽつんぽつんと、ある程度で信号なんて待つだけ無駄な気がする。まだ青にならない信号を恨めしそうに睨み付け、それが変わるのをただ眺めれば酷く避け臭い男が隣に来た。
忘年会の帰りか、酔っ払い足取りもままならない男はその足を一歩一歩と前に進めた。
ドンッ
「ぁ」
まるで羽が舞う様に、男が宙に飛んだ。
信号はまだ、赤だった。
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よく見掛ける信号無視。
車も人も。
そのうち痛い目みるよ、うん。
子供の頃。
無邪気で無知な僕は、意図も容易く蟻を踏み潰した。痛いとも苦しいとも言わない蟻は僕だけでなく、他の子供達のオモチャの様にその小さな命を散らせた。
そう言えば、虫を殺す事に罪悪感が無いのは僕だけだったのだろうか?
ぼんやりと思いつつ、灰色の建物と地面しか無いこの街に迷い込んだトンボが交差点を過ぎ去るのを見送った。
人の流れに乗る様に、すいすいと飛んでいくトンボは一体何処に向かっているのだろうか。
「あ、トンボ」
無邪気に笑い指を差した子供の顔は、虫にとっては悪魔の様な嫌な笑みなのだろうか。
母親に手を繋がれ歩いて行く子供。
ふと、足元を見れば蟻がいた。
僕よりもうんと小さな蟻は今日もせっせと働いていた。
どうして人はこうも命を奪う事に躊躇いが無いのだろうか。
僕はまた、子供の頃と同じ様に蟻を踏み潰したのだった。
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よくある話的なの。
日常的なちょっとおかしな視点の主人公で小説書きたいよ小説。
と、いうのを三ヶ月前から思う。
文才をください(白目
さみしがり
優しい人ねと、誰かが言う
優しいくないよと、僕は言う
優しくないよと否定して
誰かがそれを否定して
僕はとても、悲しくなって寂しくなって
誰かに寄り添う様に言葉を紡いで、そのさびしいを慰める
優しい人ねと、誰かが言う
優しくないよと、僕は言った
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そんな日常。
さみしいから寄り添う。
人肌に触れたくて、誰かの言葉を聴きたくて言葉を紡ぐ。それが結果として、私という人間を『優しい人』と錯覚を相手に与えるのだ。
悲しいね。