カクン、カクンねおち13:52


烏瓜

◯乗車して夜空の星や烏瓜
◯乗車して星や瞬く烏瓜
◯少年の心の星や烏瓜


朝顔

○朝顔に悲しき人の姿かな
○朝顔の忘れて雨の化粧かな
朝顔

○朝顔や一輪とする夢の跡
○朝顔や一輪として花とする
○朝顔や他にもかほを持ちにけり
○朝顔やよのなかをどうおもふべき
○朝顔に虎の半身や煙に巻き
○名筆に朝顔の見ゆ天下かな
○朝顔や行方の知らぬ隅田川
○朝顔の淵の便りも静なり
○朝顔に乾く盥の夕べかな


曼珠沙華

○ゆるやかに降りささりけり曼珠沙華
○曼珠沙華空より落ちて火のごとく
○曼珠沙華あふれて天の道となる
○曼珠沙華言いたいだけの子供かな


檸檬

○レモンといふひんやりいたし装飾品
○籠に寝るレモン頭の尖りたり
○住宅地レモンの皮をむきにけり
○レモンといふその身の光る美しさ
○太陽をレモンの色といふやべき
○レモン切りレモンの色となりにけり
○レモン切り青空を吸いそう思う
○レモン切り青空を吸い思いけり
○レモン切り仰ざまに見る心かな
○爽快な檻となるべしレモンかな
○爽快な檻となるべしレモンの葉

檸檬

○自由なる檸檬の人やおもひけり
○大げさに檸檬の皮や削いでをる
○太陽の下に檸檬のワンピース
○檸檬待つあなたの両手小さい手
○市あるやレモンの箱に白いドレス
○村の声レモンの箱に高くなり


桐の花

◯桐の花まといて船の流れゆく
◯桐の花まといて少女通学す
◯通学の少女や桐の花の中
◯田舎路の電車の窓に桐の花


鶏頭

◯さびしさに鶏頭の花清められ
◯庭先の鶏頭空に清められ
◯留守先の恋する色や鶏頭花
◯さびしさや清めて庭の鶏頭花
◯庭先に青空高く鶏頭花
◯庭先に掃かれそびえる鶏頭花



蒲公英

○蒲公英をさとして白き綿毛かな
○吹く先に黄色いたんぽぽ咲いてをり
○たんぽぽの絮につまんだ娘かな
○蒲公英やながれて雲はところどころ
○蒲公英や告げて新し恋人あり
○蒲公英やおやつの時間チャイム鳴り
○たんぽぽと隣の人や帰りけり
○蒲公英に農民たちの暮しかな
○蒲公英や若い娘の指先に
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