サイト内記事検索
この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。
当時バーテンダー見習いとして働いていたんだが
これが相当酷いもんだった
慕っていた頼れる先輩が飛び、誰かに師事するという事も出来ず
無様にカコカコ鳴らし見よう見まねで
クソマズイ、カクテルもどきを作り
イッチョまえにカッコつけてお客さんにお出しするという、とんでもないバーテンダーになっていた
配合量などは十分合っている筈なのに
技術が無いため、素人は騙せてもお酒好きは騙せない酒を作っていた
情けない・・・
最高のバーテンダーだった先輩目当てに通っていた客も徐々に足が遠のき、
以前とは客層も少々変わってしまっていた
ハンチクな腕前、未熟な話術、先輩には遠く及ばない容姿、マズイ酒・・・
流行る方がオカシイってもんだ
そんなある日一人のスーツ姿の背の高い、いかにもその道の人だろう客が来た
見た目は20代・・いや、30代・・待てよ・・40代・・・
俺より若くも見えるし遥かに上のようにも見える
こういう時は大抵年上という黄金パターンがあるもんだが
触らぬ神に祟りなしw
触れずに置こうw
186 :2[sage]:2011/07/20(水) 00:21:56.29 ID:5lZrEPwA0
「好きな酒や嫌いな酒、好みなどはありますか?」
「黙って作れ」
「・・・はい・・」
心温まる会話をありがとう
俺のクソマズイ自信作を食らいやがれ
「マズイ」
デスヨネー
「申し訳ございません、とある事情で未熟者がここに立たせて頂いてます。
お気に召さないようでしたらウィスキーや焼酎などご用意させていただきます」
「それを寄こせ、濃い方がいい」
好みあるんじゃねーか、先に言えや!!
まぁまぁよく飲む事5杯目を飲み干し
また新しく注ぐ頃、彼は静かに語りだした
「バーテン、お前は自分の手を汚した事があるか?」
「いえ、私は良くも悪くもただの一般人です。一般人の範囲でお答えできるなら
綺麗な方ではないのかもしれませんが」
「そうか、俺は毎日のように汚してる。今日も汚してきた・・・
どんなに洗ってもこの汚れは落ちないな」
コエーよヤべーよ逃げてーYO!
187 :3[sage]:2011/07/20(水) 00:23:29.46 ID:5lZrEPwA0
「えぇ?まぁ人並みに好きではありますね?」
「そうか。では豚のエサってなにか知ってるか?」
「肉を柔らかくするためにワインなどを混ぜたり・・米とか食べると聞きますね」
「あぁ、まともな所ならまともな物を食べさせてる」
「だがな、アレらは雑食なんだ。なんでも綺麗に食べる。それこそ骨すら残さずに」
ピーンときたね
とても悪い方向に・・・
いや・・まさか・・
青ざめる俺の顔を見て彼は表情を和らげ
「ごちそうさん、お前が成長しうまい酒を作れるようになった頃また来る」
そういうと彼は確かな足取りで会計を済まし
無表情で店を出て行った
入れ替わりで若いカップルが来る
アリガトウゴザイマシター・・
出来れば二度と来て頂きたくないデスガ・・・
それ以降俺の食べれない物のリストに豚が並んだ
今もそれは継続してる
当時キャバクラのボーイだった俺は
とある事情でそこを退社し、以前から憧れていたバーテンダーの修行に
入ったんだよ
なんせお酒もタバコも好きだしついでに女も好きw
これしかねぇ、とかあの時は本気で思ってた
皆にとってはバーテンダーって興味はあるけど実態が見えない
そんな職業だよな
軽く説明するけど思っている程華やかな世界ではない
水商売だし、やってる事は地味な事を積み重ねて
お客の前でカッコつける。地味な所をいかに見せずにカッコよく見せるか
本気で目指すなら遊んでる暇なんてなく、勉強の毎日
給料雀の涙で頑張ってる
本気で目指す人間じゃなきゃ到底続かない世界
まぁこんな感じよ
でな、当然新人の俺には先輩バーテンダーが色々教えてくれる訳よ
その先輩ってのはそりゃぁもう、滅茶苦茶カッコいい人だった
一つ一つの動きがカッコよくて地味な所もかっこよく魅せる
その店の売り上げの2/3はその人のファンからだと言えるかもしれない
顔も良ければ性格もいい
こんな俺にも優しい物腰に敬語で丁寧に仕事を教えてくれる
おまけに声もイイ
性格の捻じ曲がった俺は当時から彼をライバル視して意地でも負けない、と無駄な努力をしていた
176 :2[sage]:2011/07/19(火) 22:14:20.30 ID:Pu7o/YKq0
それはこの先輩に、どうして?と思えるような彼女の存在
言っちゃ悪いがお世辞にも美人とは言えないどこにでもいそうな女性
オマケに相当嫉妬深い性格で、普通バーテンダーの恋人はお店には来ないものなんだけど
その子は彼氏が心配と、毎日のように足しげくお店に通って来る
先輩はそれをずっと悩んでるみたいで、バーテンダーという職業は客と話してなんぼ
彼は客に嘘は決してつかないが、惚れさせてお店に通わせるという手段を好んで使う
惚れた女性は太いお客さんになってくれるからね
そこに睨みを利かせた彼女がいたら誰も得しない
彼の悩みはそういう物だった
営業時間が終わった時に一度聞いた事がある
「彼女と別れないんですか?先輩ならもっと美人を狙えますよ」
「いや、愛してるからね」とニコリと笑い、話を切られる
ある日、店の裏で先輩とその子が口論している所に出くわしてしまった事がある
途中から聞き耳を立てたのでおおよそしか掴めなかったが
内容はこうだ
先輩がお客の女性に悩みを打ち明けられ、お店を閉めた後二人でどこかへ消えた
それが彼女さんがいなかった時の事であり、その日確実に浮気した
こういう事らしい
その日初めて先輩が怒る所を見た、ついでに女性に手を上げたのも見た
その後しばらくその子は店に現れなかったんだが
先輩は落ち込む事なく、いつもの顔で女性を喜ばせていた
強い人だね
177 :3[sage]:2011/07/19(火) 22:16:29.06 ID:Pu7o/YKq0
あの先輩が無断欠席をぶちかましてくれおった
まさか先輩が飛んだ(バックれ)!?
もうお店はてんてこ舞いよw
シェイカーの振り方も料理も俺じゃなんにもわからん
オーナーさんも緊急で店に出てきてくれたが
余計邪魔w
とりあえず今日は店を早く閉める、そして料理や酒はバーテンダー不在のため
出来合いの完成された物を出す、という事でなんとかその場を凌いだが
先輩とは相変わらず連絡も取れないまま数日がたった・・・
急ごしらえのバーテンダーとしてカウンターに立ってた俺は
先輩の見よう見まねでお客と話し、正直クソマズイ酒を出す為
オーナーは修行セールと称しカクテルは格安で提供する羽目になった・・正直スンマセンオーナー・・・
でな、なんとか形になってきた頃、先輩の彼女が来店してきたのよ
「今は貴方がバーテンダーなのね」
「えぇ、先輩が急にいなくなってしまいましてハンチク坊主ですがカウンターに立たせてもらってます。
彼女さんは先輩がどこへ行ったかご存知ないですか?」
「知ってるわよ、ただ、もうバーテンダーとして生きていけないわね・・」
「それはどういう意味ですか?」
「フフッ、さぁね?」
彼女はそう言うと意味ありげに左手を出してきた
その薬指には光る指輪
178 :4[sage]:2011/07/19(火) 22:18:27.05 ID:Pu7o/YKq0
たしかに夜の世界に生きていては結婚は厳しいだろう
昼夜は逆転するし収入もはっきり言って家族を養える程あるとは思えない
足を洗いまともに生きる事を先輩なら選択するだろう
でも一言くらい声かけてほしかったなぁ・・・
なにも飛ばなくても・・・w
「おめでとうございます!そういう理由でしたか!」
「ウフフッ。有り難う」
「ではお店から一杯出させていただきます!未熟者ですがなにがいいですか」
「そうねぇ・・じゃあコレを使って最高の一杯を貰おうかしら」
ゴロン
あの時は思考が止まったね
なんせそこに出されたのは小さいビニールに包まれた指だった
血が抜かれているのか、全体が紫、というより黒ずんでいて
恐らく親指だろう・・・それも男性の・・・
179 :5[sage]:2011/07/19(火) 22:19:44.66 ID:Pu7o/YKq0
「え?」
「あの時確かに貴方がいた・・聞き耳を立てていた事は知っていたのよ」
バレテルー・・・
会話を一旦途切れさせ、思考を纏めるためにタバコに火をつける
「では、それを使って最高の一杯をお作りしましょう。
マドラーとして使うだけですが、とても優しい味になるでしょう」
・・・終わった・・
沈黙が痛い・・・
「面白いわね、貴方」
「今日来たのは釘を打つためだったけど、貴方はプロみたいだから安心したわ」
そう言って彼女は最高の笑顔を見せ、指を持ち店を出て行った
先輩とその子にはもう会う事はないんだろう
夜の職業だと色んな人種に出会える
そして出会いの数だけ別れもある
色んな形でね・・・
あれから先輩とその子がどうなったか、親しい友人達もわからないみたいだ・・
レイコさんとは色々な霊体験をしたが今日話すのはその中の1つだ。
歌舞伎町に毎日行ってるとこの店変わるんだなってなんとなくわかる。それは警察が入ったりする以外にヤクザが多く出入りしだしたりってサインもある。
歌舞伎町だから殺人事件がとか思うかもだけど新聞とかに載るような事件に遭遇した事はない。それは多くの事件が示談(強制的な示談w)になるからかもしれない…w
俺も最初は歌舞伎町には殺し屋1みたいなのがいるって思ってたんだよねw
ある日の事、俺はいつも通りタバコを買いコンビニに寄って茶花伝のミルクティーを飲みながら歌舞伎町を歩く。
ちょうど朝風俗の送りの車と出会い邪魔だな〜と思いながら車をふと覗いてみた。
なんと車の中に人間どうやったらそんなに顔が腫れるのかってくらい顔の左側を腫らして血だらけの女の子がいた…。
「何見てんだコラッ?」
って言ってきたから人間なんだと思う…しばらく離れた場所で紅茶花伝飲んで様子を見てるとお店の入口に嫌なモノがたくさん集まってるのがわかる。
あるモノは車の下に、あるモノは電信柱の上や影に…すごい集まってるかと思ったら急に消えた…
あれ?って思ったら中から亀田のオヤジ激似のヤーさんがでてきた…
静かに車に乗り込むとどこで買ったのか不思議な犬の絵のジャージを着た手下に指示を出し、首が折れるんじゃないかってくらいうなだれた多分お店の人?を連れて車を出した…。
亀田オヤジが消えてすぐに嫌なモノ達は集まりだしてお店に入って行く…
あ〜幽霊もヤクザは恐いんだなって少し思ったけど入って行く量が半端ない…すげーな〜って思ってたら時間になったので出勤する。
俺が口を開く前から
レ「日本酒お願い!」
って言ってるので俺は期待通りだと思い早速質問をする。
俺「○○ビルですよね?w今日ヤクザが揉めてたみたいだけど関係あるんですか?」
レ「いや前から少しずつだけど色んな子(レイコさんは幽霊を子って呼ぶ)が集まってるからそろそろ潰れるなとは思ってたんだけど…」
俺「えっ?幽霊が集まると潰れるんですか?」
レ「前話したお水の子と違って風俗の子は…これは私が勝手に言ってるだけだけど、風俗って風って漢字使うじゃない?だからみんな風邪ひくみたいに病気になるわけよ!」
俺「へ〜風俗は恐いっすねw」
レ「性病もだけどマイナスな空気で色んな霊が集まるし、ある意味それ(取り憑かれたり)も病気みたいなもんでしょ?」レ「今日前を通ったら幽霊以外の…なんか悪魔みたいなのがたくさん電信柱の上にいたのよ!カラスみたいにならんで電線に座って話をしてるわけ!」
俺「あっそれ俺も感じました!幽霊じゃなかったんですね〜…」
レ「私もよくわからないけど次は○○(その後しばらくして潰れた裏風俗店の名前)だって話してた…まぁ私には関係ないけど歌舞伎は変なのがたくさんいて飽きないわねw」
俺「へ〜…」
歌舞伎町には人気がなくて潰れるお店・警察が入って潰れるお店・オーナーの税金対策やお金な事情で潰れるお店以外に悪霊?悪魔?に潰されるお店があるそうだ…
なんかあんまり怖くなくてごめんな〜…でわでわ