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今までのこと、

ぜんぶ、うそです、ごめんなさい。
私には胸を張って誇れるような彼もいないし、勉強なんて高校受験以来していないし、男の人と二人きりで遊んだこともありません。私はただの出来損ないです。これだけは本当です。
たくさん、たくさん嘘を吐きました。真実になればいいと思って、大小様々な嘘を意図も意味もなく吐き出しました。思ってもいないことを口にすると、私はまるで自分が自分ではなくなるような、新しい誰かになったような、頭のてっぺんから皮膚が裂けてそこから別の何かが現れるような、そんな気持ちになったのです。
うんとうんと酷い嘘を吐きたい。嘘を吐く度に私の身体は一回りずつ小さくなっていく。昨日吐いた嘘のおかげで、今では私はもう肉眼では捕らえられなくなってしまった。嘘を吐いて、嘘を吐いて、嘘を吐いて、嘘を吐いて、私は消えてなくなりたい。
愛されていると嘘を吐く。頭が良いと嘘を吐く。自分は可愛いと嘘を吐く。自分の撒いた嘘に溺れて窒息死。明日にはもう、この身は誰の目にも映らない。





『うんとひどい嘘、たくさん吐くほど、嘘つきでなくなるらしいのね?』

本当はもう嘘を吐くのは嫌なんだ。
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誰かこの頑なな眼をこじ開けてくれ


話題:秘密

私は箱入りのお嬢さんで、彼以外に男を知らなくて、大恋愛の末の失恋なんて経験したことがない、と大抵他人様からそう見られる。その後には、あなたの苦労なんてまだまだだよ、世の中にはもっと大変な人が云々、と続いてと延々と諭される。
ふん。余計なお世話だ。人間一人の人格を作り上げて楽しいか?自分の作った鋳型に当てはめて満足か?
私はその期待を裏切らないように慎重に慎重に無数の選択肢から正しい答えを引っ張り出してきて、そっと提示するのだ。これはどう?正解かしらね?

でも、ホントのことは全部内緒。私のことは全部秘密。誰にも教えてあげない。亮さんのこと、亮さんへの執着、亮さんへの依存、全部私だけが知っていればいい。

大人の男は「俺が君に人生を教えてあげたい」なんて言うけれど、それならあたしの絶望も全部喰らい尽くしてよね。地に足着けて生きてかれないんだ。絶望を喰らう覚悟もないのに、私に向かって知った風な口を利かないでくれ。

もう何もかもが予定調和。あれもこれもそれも、全て想定の範囲内。誰の唇から零れる言葉も、どこかで一度聞いたことのあるようなセリフ。まだ、だ。まだ私の想像を絶することは起きていない、そんな人にも出会っていない。

「こんなのって初めて!」そう言って胸の前で手を合わせれば男の人は嬉しいのでしょう?

啓蒙主義にとりつかれている。
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プロフィール
kさんのプロフィール
性 別 女性
系 統 アキバ系
血液型 O型