「このクルマ、もう乗らないから引き取ってもらうよ」
母のクルマ無し生活も一週間
今日は家庭菜園で収穫したネギを出すという母を市場に乗せて行った
やっと諦めもついた頃だろうと母のクルマの引き取りを依頼したが
「それは困るよ。クルマが無くなったらこれからどうしたらいいんだい?」
「もう乗らないんだから要らないよ。クルマがあるだけでお金かかるんだからね」
「でもクルマは持って行ったら駄目だよ。家に置いておかないと不便だよ」
「運転しちゃいけないんだよ。事故起こして相手に何かあったら責任とれないよ。もう十分乗っただろ?」
「明日からどうしたらいいのかねぇ。クルマが無いと淋しいねぇ」
母にとってのクルマは長年連れ添った相棒
思い出もろともいきなり無くすのは酷というものだが、乗らないクルマを保管しておく余裕などない
「あ、そうだ。クルマと一緒に写真撮ってあげるよ。ほら、こっち来て」
母はしぶしぶクルマに近づきボンネットに手を添えた
「こうかい?。ここでいいのかい?」
「ハイ、もっと笑って」
「淋しいねぇ、、」
私は今にも泣きそうな笑顔の母とクルマのツーショット写真を携帯に収めた