*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋~特別編-鳥の仮面の男』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
最初なので、
話題:創作小説を使わせて頂きます。
次から、『純血の殺し屋』の特別編です⇒
story.1:『変装名人』
鳥の仮面の男と思われる、警察病院の精神科医・川平ランディが失踪した。
その事実を知ってから、警察はすぐに履歴に明記されていた自宅住所を突き止め、出向いた。
…だが、そこはただの公園。
だが、過去に自宅電話に連絡を取ったことがあるという同僚の証言をもとに、警察は電話番号を調べて、その電話番号が使用されている住所を調べた。
実に、2週間後のこと。
そこは、一件の古い長屋のアパートだった。
大家に川平の写真を見せてみたところ、大家は難しい顔で首を傾げながら言ってきた。
『川平ランディ……知らないですねぇ。写真の人も、見たことないです』
大家の証言を聞いた警察は驚愕しながら、ここ2週間近く帰宅していない住民がいないか尋ねた------------すると、大家は思い出した。
『ああ!いますよ、一人!
"城之内"さんってお兄さん!』
警察はその話を聞くなり、早速その城之内という男性の部屋を見せてもらうように要請した。
大家はすぐに城之内の部屋の鍵を取りに行くと、ドアを開けてくれた。
そこは、たった四畳半の部屋。
聞けば、このアパートは浴室・便所・台所も全て共同で、アパートの住民なら、大家よりも城之内のことを知っているのだと言う。
四畳半の部屋には、液晶テレビと布団以外は数着の衣服がハンガーに掛けてあるだけだった。
"城之内"が"川平"と裏付ける証拠は何一つ存在しなかったが、その後、アパートの住民の70代女性からこんな証言が取れた。
女性は、写真の川平を見たことがあるらしいのだ。
『確か、特殊メイク専門のお仕事をしてるって言ってたわ。
アイプチ?…とか、女性のメイク道具を使って、別人の顔に変身させるのが得意とかねぇ』
この女性の証言で、川平ランディの正体が『城之内凛太』である可能性が浮上した。
城之内凛太は、女性によほど気を許していたのか色々なことを話していたようだ。
『10代の時にお父様が死んでしまって、お母様が5年前に病気で亡くなったそうよ…。
あの子……天涯孤独だったのよ、可哀想に。』
女性は、自分が手作りした料理を度々住民たちに振る舞っていたようで、城之内も頂いていた。
城之内は女性が作った料理を食べながら、こんなことを言ったことがあったのだと女性は話した。
『俺は、親父のことが赦せない……。
アイツのせいで、俺の人生は狂った…』
城之内は、亡くなった父親を憎んでいたらしい。
とても真に迫った表情をしていたため、女性は優しく宥めながら、「辛いことがあったら言いなさい」と声掛けしたのだとか。
70代女性の事情聴取をしていた最中、写真を覗き込んだ20代男性がこんなことを言ってきた。
『スゲーですよね!特殊メイクとはいえ、ここまで別人になれんなんて。』
男性のその話を聞いて、『素顔は違うんですか?』と警察が尋ねたら、男性はこう言ってきた。
『俺、ずっと前に見してもらったんですけどぉ!
1時間足らずで女性になったり、爺さんになったり、婆さんになったり。
俺そっくりになったりぃ……あとこの写真みたいにハーフになったり、黒人なんかや、まんま外国人になったり!』
つまり男性の証言が正しいなら、城之内は別人として堂々と自分たちの横を通り過ぎている可能性があった。
警察はその事実に危険性を感じながら、もう一つ気になることがあった。
この長屋アパートの住所は、何と警察病院と目と鼻の先に存在していたということなのだ。
つまり住民の目さえ欺くことが出来れば、第6の槐事件の時に六条薫が姿を消していた空白の時間帯、自分の部屋に一時監禁することが可能だったはず。
------------つまり、鳥の仮面の男が川平ランディ……もとい、城之内凛太であるという水嶋の直感は当たっている可能性がある。
だが、問題なのが、城之内凛太は相当高度な変装が得意な人物であるらしい。
つまり、パッと見ただけでは、城之内凛太を見抜くことは出来ないのだ。
警察は念のため、城之内凛太が事件の関係者であることを住民に打ち明け、似顔絵の作成に協力してもらった。
------------警察署の槐事件捜査本部は、全力で城之内凛太を調べることになった。
水嶋の証言で、犬の仮面の男こと、アートロが城之内凛太を暗殺しようと企んでいる可能性が浮上したので、アートロたちよりも先に城之内凛太を難としても、警察が確保しなければならない。
------------そう、水嶋が腹部に傷を負い、入院して3日後に城之内の消息不明を聞かされてから2週間後。
アパートの住民からの証言が取れて、捜査本部が城之内の捜索に全力を挙げることになってから、翌日の昼過ぎ。
水嶋宅に、大量の空の段ボールがあった。
第7の槐こと、七条直弥と義姉の歩美が段ボールを纏めてビニールテープで縛る作業をしていた。
歩美:「…よし!終わり〜」
歩美が額の汗を腕で拭いながら言うと、直弥もふぅ…と息を付きながら床にぺたんと座った。
あの一件から、槐事件のことや実母のことに関する記憶が無くなり、歩美のことは"実姉"と思い込んでいる直弥がそこにいる。
直弥は、あの一件では一切裁かれることはなかったが、槐事件の関係者であること、記憶が失われていること、歩美と同様に身寄りがないこともあり、直弥が退院してから2週間経過してから水嶋に言われて、しばらくの間は水嶋の実家で世話になることになった。
とはいえ、水嶋宅には基本的に水嶋以外の人間はおらず、居るのは飼い猫の"ゆのみ"だけだとか。
ゆのみ:「にゃー」
そのゆのみの鳴き声に、歩美と直弥が振り返った。
ここは2階の空き部屋だったうちの一部屋で、今日から直弥が使用する予定の場所だった。
この家の住民・ゆのみはこちらをじっと見てから、こちらを気にしながら1階へ降りようとする。
歩美:「行こうか?」
直弥:「うん。あ、段ボールも持って行こう」
直弥はそう言って、段ボールを持って1階へ降りることにした。
歩美も廊下に立て掛けておいた段ボールを持って、気を付けながら1階へ降りて行くと、ダイニングルームから物音が聞こえてくる。
ゆのみは度々こちらの様子を確認しながら、先にダイニングルームへ行く。
後をついて行くと、ゆのみはソファーに腰を埋めている刑事・水嶋律の膝で寛いでいた。
水嶋も退院はしたが、明日までは有給を取るようにと上司の石塚から言われてしまい、今日は自宅にいた。
すると、水嶋は2人に気付いて声を掛けた。
水嶋:「おう。終わったか?」
直弥:「はい!つかれた〜…」
直弥は近付いて来るなり水嶋の傍へ寄って、ゆのみの頭を撫でた。
直弥は、ずっと動物と暮らしてみたかったらしい。
直弥:「えへへっ」
直弥はニコニコしながら、ゆのみを可愛がる。
水嶋はそんな直弥の様子に安心していると、リビングでは水嶋の実姉・沢田法子が早めに夕食の準備をしてくれている。
歩美:「あの!何か手伝います、私…」
法子:「ありがとう!
でも…今まで2階で荷物を整理してたんだから、直弥くんも歩美ちゃんもとりあえず麦茶を飲んで水分補給しなさい?」
法子の言葉を聞いて、歩美と直弥は「はい」と返事をした。
歩美が冷蔵庫から麦茶のボトルを出して、直弥がコップを3個用意してくれた。
そんな2人の様子を見ながら、水嶋はゆのみにこう話し掛けた。
水嶋:「ゆのみ、今日から家族が増えて賑やかになるぞー。よろしく頼む。なっ?」
ゆのみ:「みゃ〜ん♪」
ゆのみは分かりやすいくらい甘えた声で返事をしながら、水嶋に首や頭を撫でられ満足気な表情をしている。
自宅で安静のためとはいえ、長い間ゆのみと昼過ぎにこんなふうにじゃれ合っているのは、ほとんど初めてかもしれない。
水嶋:「お前とは、長い付き合いだもんなぁ…」
正確には、既に亡くなったゆのみの母親の代からの付き合いだ。
ゆのみの母親の時は子供を授かり、ゆのみを残して他は里子に出してしまったが、ゆのみはほとんど外には出さないようにしているし、本人も外は怖いのか自分からは出たがらない。
自分の家の庭にも出ないのだ。
水嶋:(まぁ、だからこそ余計な心配せずに済むんだけど…)
帰ったら、ゆのみがいる。
それが刑事という仕事をしている水嶋にとっての最大の癒し。
水嶋:(明日も早めに帰るけど)
それは、あくまでも予定。
明日は、今まで実践したことがなかった事を実行に移す日。
色々な不安を抱えつつ、水嶋は希望も胸に抱きながら明日という日に賭けていたのであった。
------------To be Continued...