@サイコスリラー(製作国:オーストリア)
・登場人物は少なめで、分かりやすい人間関係
・バイオレンス映画だけど、直接的な殺害シーンはない
・生きている人間が一番怖い
・胸糞悪いやトラウマ映画と評されるに値する
・グロではないものの、後味悪い
理不尽極まりない、一方的な殺戮映画。
ありがちなグロテスクな直接表現はなく、フレーム外だったり音や血などの間接表現なので、グロ描写が苦手な方でも見れます。
が、描写より内容がとにかく胸糞悪いため視覚的ではなく精神的にくるので、ホラーを見慣れていなかったり被害者側に感情移入してしまう方にはキツいかもしれません。
オリジナルはオーストリア、リメイクはアメリカ。
不気味さでいうならオーストリア版がオススメ。
アメリカ版は、オリジナル版に比べると青年二人組がややイケメンになっています。奥さんも綺麗。
鑑賞済みのホラー映画覚え書き一覧は
こちら。
追記は感想につき、ネタバレ注意!
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【感想】
胸糞悪い映画の話題に、よく名前が挙がる映画です。
見た後は最悪な気分になり、何とも言えない嫌な余韻が残った上(誉め言葉)絶望しかありません。
映画として演出は良く、映画の出来が悪い訳ではないです。
殺戮者は、見た目普通(まあ全身白い服装の時点で普通ではないけどこれは先入観を含んでいるとしして)の2人組の青年。彼らの目的は、強姦でも復讐でも金銭でも快楽でもない。殺害対象は女子ども全て平等。
被害者は、何もしていない普通の家族。逃げることも反撃することも出来ず、一方的に殺されていくだけ。
彼らに殺される羽目になる要因なんて一つもなければ、青年2人にも殺す動機や殺人を犯す理由・目的もない。
大体どの映画にも、それなりに殺人鬼側の犯行動機や過去・目的など、何かしらあるのが殆どです。復讐だとか、快楽殺人だとか。
それがこの映画には全くないのですよね。理不尽でしかなく、被害者が助かる結末でもなければ、相手をやっつける結末でもない。見知らぬ男性2人組に、犬も子どもも女も男も平等にただ殺されるだけ。
唯一のアナの反撃も、チートな技で映像の巻き戻し反撃を完全無効化されるという絶望。
でもこれは一つの演出で、それまで画面に食い入っていたのが、そこで現実に一気に引き戻される。そうだ、これは映画だったと。
それから映画を見ている観客は、完全な絶望感を突きつけられます。ああ、何をしても助からないなと。
ホラー映画ってどんでん返しもあったりして、最後の最後まで生きるか死ぬか分からないのですが、ファニーゲームはここの演出で、彼らが生き残ることが不可能であることを分かってしまいます…。
それ以外に、観客であるこちら側に突然話しかけてきたりと、所謂メタ発言も出てきます。やはりこれもフィクションであるという意味を込められています。
これが一瞬救済演出かと思いきや同時に、自分が第三者の目撃者である錯覚を植え付けてくるという。
これが胸糞悪い感情を余計に際立たせるんでしょうね。
ただ見るだけなら胸糞悪いだけですが、個人的には色々と凝った映画だと思います。