==>はぁ。小町には困ったものです
「「「四季様?」」」
==>死神は現世の生き死にに関わってはならない。そんなのは、この仕事についたときからわかっていたこと。例え大切なものたちの死に直面しようとも…。
「「「四季様。餓鬼という妖怪の処罰は…」」」
==>博霊の巫女に遣いを出して。餓鬼は"転生"があるのだったら、こちらで記憶を消せばいいわ
「「「かしこまりました」」」
==>早く来ないかしら、あの子
「「「四季様も待ち遠しいのですか?小野塚さんも待ち遠しいと口にしてましたが…」」」
==>小町が?(フフッ
「「「まぁ、いつもと同じく昼寝してましたが。四季様はなぜ待ち遠しいのですか?」」」
――――――――――
生き物は誰でも、何でも、死に至るまでの間の物語がある。あなたにも、この仕事につくまでの物語がある。私はそれを資料で目を通すけど、話を聴くこともある。仕事の一つではあるけど、楽しみの一つでもある。だって、小説を読み聞かされてるみたいで、いいじゃない
――――――――――
=>さぁ、ここが閻魔様の居る部屋だ
「(閻魔様って、小町さんの上司の?)」
=>四季様だよ
「(僕は…小町さんを騙したから、怒ってるかな?)」
=>あっはっは
「(小町さん?)」
=>まぁいろいろ説教聞かされるかもしれないねぇ
「(説教…;)」
=>でも、あんたの話を楽しみにしてるよ。きっと
「(はなし?)」
=>あぁ。さっきあたいに話してくれたみたいに、四季様にもたくさん話してやってよ。あの人の楽しみの一つなんだ
「(小町さんもだよね?)」
=>まぁね
==>部下は上司に"似る"という言葉はありませんし、私と小町の共通点なんて少ない方だと思いますが?
「(!!)」
=>あ!四季様ぁ(ニコニコ
==>まったく、門前まで来たと思って構えてたのに。立ち話なんて止めて、早く来なさい
「(…)」
==>さぁ、審判までまだ35日は猶予があります。あなたの話をゆっくりと聴かせてもらいますよ(ニコ
「(10日でも長かったのに…)」
――――――――――
閻魔と死神 おわり
「(…あれ?ここはどこだろう)」
=>よぅ。やっときたかぁ
「(小…町…さん?)」
=>さぁ、おいで。話したかったんだ、先は長いしね
「(僕は…死んだんですね。あの子たちも…)」
=>すまなかった。あんたくらいは助けてやりたかったんだが…
「(掟…。死神だから?)」
=>あぁ。まったく、面倒なことだよ。"掟"はあたいたち死神を縛る"鎖"みたいなもんさ
「(僕は…あの子たちを助けたかった。自分の生がわずかなのを知っていたから…。こんなちっぽけな僕でも、誰かを守れると思ったのに…)」
=>涙か…。あたいが昔に忘れた感情だなぁ
「(小町さんも、泣くことがあったんですか?)」
=>忘れちまったよ。ただ、あたいは案内するだけ。何もしてやれないからねぇ
「(小町さんは仲良くなった人たちとさよならを言わなきゃいけない側なんだね。いつも)」
=>"さよなら"か…。今度はあんたの話を聞かせておくれよ
「(え?)」
=>まだあと10日はあるからねぇ
「(え!長いね。そんなに長い話じゃないよ?)」
――――――――――
魂と死神はゆっくりと進む。閻魔が待つ場所へと
冥界へ
コガラシは悪い妖怪じゃないんだね。
私たちがお家に帰るまで、ずっと一緒にいてくれるもんね。
でも病気なんだって言ってたね。
今日も来てくれるかな?コガラシ…
――――――――――
「……嘘だ。だって、僕は…(ゴホッゴホッゲホッ」
=>コガラシ…
「餓鬼…許さない…」
「「許さないだと?死にぞこないの虫けらが何言ってるんだ?」」
=>よせ!コガラシ!!
「カマイタチ奥義!『百斬乱舞』」
「「黙れ!雑魚が」」
ズサッ、ドカッ
=>!?
「「痛ぇな。俺に傷をつけるとは、生意気な小物だぁ」」
「ぐぅ…」
=>(四季様、ちょっと仕事の順番が前後しちまうが、説教ならいくらでもききますよ)
「「あ?そうだったなぁ、お前を殺らなきゃだったな!」」
=>死神『ヒガンルトゥ…
==>(戻ってきなさい!小町!)
=>(なっ!四季様…)
==>(死神が生き死にに関わるなんて、掟に反します)
=>(でも、四季様!!)
==>(…小町。わかってください。我々はそういう定めなのです)
=>く…
「…ケホッ」
=>コガラシ。あたいは仕事が出来ちまった。あんたも迷わないように導いてやるから…
「……―」
「「何言ってやがる!!俺と殺り合えよ!死神ぃぃぃ!」」
――――――――――
あたいは死神。現世の生き死にに関わるのは、世界の均衡に影響をあたえるから禁じられてる。まったく面倒な決まりだぁ。あたいには好かないが、四季様だって心苦しいときがあるのだろうな…
導く
通りゃんせ、通りゃんせ。行きはよいよい、帰りは恐いだろ?だって俺らに喰われるんだからな!!
――――――――――
=>さぁ、着いたよ。ここが中有の道だ
「僕、小町さんを…騙したんです」
=>なに言ってんだい?とにかく医者に見てもらわないと…!!
「「やっと出てきたか、コガラシ」」
=>誰だい、あんた
「約束だ!友だちを返せ!!(ゴホッゴホッ」
「「おぉおぉ、可哀想なコガラシ。たかが人間の子ども2、3人消えたところで、変わりはしないのになぁ」」
=>コガラシ。どういうことだい?あたいにはさっぱりだが
「「俺がそいつに"お願い"したのさ。お前をここまで連れてくるようにとな!お前たち死神に復讐するためにな!」」
=>復讐?なにを言ってるんだ
「「俺は"転生"した。お前ら死神や地獄の鬼たちに苦しめられた日々を忘れずに現世に帰ったのだ!」」
=>あぁそうかい。あんたなんてもうどうだっていいさね
「「どうだっていいだと?」」
=>とにかく、こいつを助けるのが先さ。邪魔するなら容赦しないがねぇ
「待って…まだ人間の子どもたちが…(ゴホッゴホッ」
=>コガラシ、済まない。あたいもあんたに黙っていたことがある
「助けるって、約束したんだ。あいつら怖いって泣いてたんだ。僕が助けるんだ(ゴホッゴホッ」
=>さっきあんたと歩いてきた道の途中―――――三体の霊魂とすれ違ったんだ
――――――――――
コガラシは本当に馬鹿だな。俺の好物が人間なのは、知ってるはずだぜ(ムシャムシャ
な、恐いだろ?最後のひとりが一番恐いだろ?大丈夫。コガラシが戻るまで時間はある。ゆっくり食ってやるよ(ニヤリ
現世